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[社説] 悲嘆にくれるセウォル号遺族を教皇に救ってもらいたい

登録:2014-08-14 01:44 修正:2014-08-14 09:04

  4泊5日の日程で韓国を訪問するフランシスコ教皇に寄せられる期待が大きい。朴槿恵政権がスタートして以来、人権が踏みにじられる暗鬱な韓国内の状況が教皇に救いを求める‘メシア症候群’となっている。教皇の訪韓準備委員会もこれに呼応して、教皇が18日に明洞聖堂で執典する「平和と和解のためのミサ」に、慰安婦にさせられた女性たちと龍山(ヨンサン)事故の被害者家族、江汀(カンジョン)村と密陽(ミリャン)送電塔の被害住民、サンヨン自動車の解雇労働者たちを招請した。15日の大田ワールドカップ競技場でのミサには、セウォル号の遺族を招請しており、ミサの後には檀園(タンウォン)高校の生徒10人が教皇に接見する席も用意した。

 教皇は夏期休暇中に韓国を訪れる。30、40年も前の話でもあるまいし、経済協力開発機構会員国でありながら自分で問題を解決できないから、高齢のお客様に救いを求めるというのでは情けない。しかし、現在この地で苦しんでいる弱者は、ワラにもすがりたい思いだ。304人もの命が水葬されてしまう様子を目の当たりにしたセウォル号事件のような事故を防ぐため、真相調査が可能なセウォル号特別法を可決してほしいという遺族たちの要求も実現されずにいる。教皇が執典する光化門での列福式場の囲いの中では、セウォル号の遺族たちが13日現在で31日目のハンスト中だ。現場と実践の重要性を訴える教皇の教えに従うカトリック司祭や修道士も毎日約100人ずつ14日目のハンストを行っている。真相調査さえ難しいという絶望感が、教皇に対する切実な呼び掛けにつながっているのだ。

 政府の支援を得てカトリックが光化門での超大型行事を強行することから、フランシスコ教皇らしい具体的な言動が成されない可能性もあるという心配もされている。しかし教皇は、韓国の状況をしっかり見定めることが誰より可能なはずだ。彼はアルゼンチンの独裁者ホルヘ・ビデラら、軍部が1976~83年の7年間に約3万人を犠牲にした‘汚れた戦争’下で生き、良心的な大勢の司祭や修道士が共産主義者扱いされて拷問と虐殺にあう姿を見てきた。

 彼は昨年教皇になって以来、最初の訪問地として難民であふれるランペドゥーザ島を選び、‘苦痛を分かち合うことができず、涙を失ってしまった世の中’を叱責した。韓国でも苦痛にあえぐ人々と国民みなが真に涙を分かち合えるような霊的な目覚めを起こすことを期待している。200年前の殉教者を賛えることに終わらず、この地で無念の殉教者がこれ以上生まれないように導く‘目覚めの旅’になることを願いたい。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/651021.html 韓国語原文入力:2014/08/13 18:30
訳T.W(1162字)

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