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[社説]‘韓国史の国定教科書回帰’という全体主義的発想

登録:2013-11-13 00:08 修正:2013-11-13 07:51

 与党の主要幹部と守旧勢力を中心に高校韓国史教科書の発行制度を国定に戻そうという主張が続いている。政権に都合の良い歴史解釈だけを生徒たちに詰め込むという全体主義的な発想に違いない。

 国定韓国史教科書体制の問題はすでに過去に検証済だ。朴正熙政権は維新独裁体制を固めた直後の1974年2月に当時11種類あった中・高校国史教科書を全てやめて単独の国定教科書を導入した。この教科書が維新体制の正当性を宣伝するのに悪用されたのは当然だった。国定体制は権力を擁護して画一的見方を強要する、という批判のもとでも30年ほど続けられて、2000年代に入り検定体制に変わった。様々な先進国が採択している自由発行制までは行けなかったものの、検定体制導入には歴史的・市民的・学問的反省が濃縮されているのだ。これを無視して今になって再び国定体制をちらつかせるのは歴史の流れに逆らう退行的なものだ。

 韓国史教科書の国定化主張が提起された過程もまた、政略的かつ陰謀的だ。当初の問題は、落第点の品質で、親日・独裁を露骨に擁護する教学社版教科書が検定を堂々と通過したことにあった。政府が検定の問題点を認め、この教科書に対する対策を設ければいいだけの状況だった。しかし政府はこの教科書を守るために8種類全ての教科書について事実上の再検定を実施し、今や検定制度自体を問題にして国定体制を主張している。親日・独裁を擁護する教科書が国定になるまで押しつけようという陰謀と見ざるを得ない。朴槿恵大統領が国民を相手に言い出した‘歴史戦争’に与党全体が動員された格好でもある。

 歴史は事実に基づかなければならず、解釈の多様性も認めよう。問題は、事実選択が誤っていたり、偏向していたり、解釈の仕方が学界多数の同意を得にくい時に発生する。教学社の教科書がまさにこのようなものであり、検定制度はこれを除外するためのものだ。親日・独裁の肯定的側面を強調する内容を教育したいなら、少なくとも先に学界の真剣な議論を経て認められる手順を踏むべきだ。これは我が国の憲法に規定された‘教育の自主性・専門性および政治的中立性の保障’にもそっている。

 政府与党が直ちにすべきことは教学社版教科書を排除して検定を充実する手段を整えることだ。今のように詭弁をふるって教学社版教科書を救ったうえに、国定体制への回帰まで主張するのは時代錯誤的な妄言にすぎない。政府与党は歴史と国民を畏怖する気持ちをまず持つことを望む。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/610847.html 韓国語原文入力:2013/11/12 18:59
訳T.W(1144字)

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