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[社説] でたらめ運営 脱北者支援財団

登録:2013-11-03 10:58 修正:2013-11-03 23:00

 脱北者を保護し定着を促進するために作られた北韓離脱住民支援財団が、目的外運営で国会の国政監査の場に上がっている。この財団は年間予算300億ウォンの大部分が税金で賄われている政府の傘下機関だ。

 最も注目されるのは、この財団が昨年7月、北韓に住む住民を脱北させるために渡航費(国境の川を渡る費用)名目で脱北費用を直接支援したことだ。 金額は数百万ウォンほどだが、事実上政府が北韓住民の‘脱北企画’を支援した形なので、おろそかにできる問題ではない。北側政府が南側政府に対して北の国民拉致に乗り出していると主張できる状況だ。渡航費とは結局は北の警備隊に渡すわいろであるだけに南の法に抵触する素地もある。財団側と統一部は‘書類作成上のミス’と主張しているが、状況から判断してしっくり来る説明ではない。

 この懸案は3年間にわたって行われた‘緊急救護事業’の一つだ。財団はこの事業に対しては他の事業とは別に部外秘で予算を執行してきたし、その相当数について裏づけとなる書類さえ残していなかった。脱北者関連団体の要請により資金を支援する形なので、その中の一部が脱北企画に流用された可能性がある。統一部はこれまでに緊急救護事業に回った2億ウォン余りの資金の流れを注意深く調べる必要がある。その結果、不適切な執行が見つかった場合は緊急救護事業自体の存廃を検討すべきだろう。

 それでなくとも北韓離脱住民支援財団は団体の趣旨に合わない事業の推進や予算浪費、重複事業、退職官僚主体の人事など不適切な運営で批判を受けてきた。脱北者の間での評価も良いとは言えない。初期定着および自立・自活支援に最も多くの予算が使われているが、脱北者の生活は依然として劣悪だ。キム・ヨンウ セヌリ党議員が最近調査したアンケート結果を見ると、国内の脱北者の中で半分以上が死を考えるなど、問題が深刻なレベルで、自ら命を絶った人が26人に達する。脱北者の失業率も国民全体の2倍水準だ。そのためか、第三国に再び逃避する脱北者も増加している。

 同財団は脱北者が2万人に達した2010年に‘北韓離脱住民の保護および定着支援に関する法律’に基づいて作られた。この法律は脱北者を‘北韓を抜け出した後、外国国籍を取得しなかった人’と定義している。企画脱北の支援はそれ自体が違法である。財団は本来の趣旨どおり、脱北者の迅速で順調な国内定着を支援することに集中することを望む。特に統一部はこの財団が設立目的から外れて誤って運営されないよう指導・監督する責任を忠実に実行すべきだろう。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/609485.html 韓国語原文入力:2013/11/01 18:52
訳T.W(1173字)

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