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[チョン・ソック コラム]‘チョウォン河豚料理店’の記憶と国家情報院‘大統領選挙介入’

登録:2013-08-06 15:20 修正:2013-08-06 22:01
‘チョウォン河豚料理店盗聴事件’はむしろ金泳三元大統領に有利な契機となった。 1992年当時、チョウォン河豚料理店で進行された現場検証

-キム・ギチュン元法務長官:今、釜山(プサン)はうまくいってますか?
-チョン・ギョンシク釜山地検長:検察総長が昨日一昨日と座談会に来てくれて…得票にとても役立ちました。

-キム元長官:(選挙運動を)露骨にやっても大丈夫じゃないか。 我々検察でも了解している。 おそらく警察庁長官も了解…。
-パク・イルリョン釜山警察庁長官:了解どころか。私が一番煽っています。

-キム元長官:地域感情は幼稚かもしれないが故郷の発展には肯定的…とにかく民間で地域感情をちょっと呼び起こさなければならないね。
-イ・ギュサム安全企画部釜山支部長:言論系統には私が一番強く言っているが…ところがこの頃はその下の若い記者たちのために…

 14代大統領選挙をわずか一週間後に控えた1992年12月11日朝、釜山、大淵洞(テヨンドン)のチョウォン河豚料理店の地階別室で行なわれた金泳三民自党候補支援の集いで交わされた対話の一部だ。 この日の集いにはキム元長官をはじめキム・ヨンファン釜山市長、チョン地検長、パク庁長、イ支部長、キム・テギュン釜山機務部隊長、ウ・ミョンス釜山教育長、パク・ナムス釜山商工会議所会頭などが参加した。 彼らは‘俺たちは心は一つだ’を叫んだ。 この日の集いを斡旋したキム前長官が5日、朴槿恵(パク・クネ)大統領秘書室長に電撃抜擢された。

 時期も偶然だ。 現時局は国家情報院の大統領選挙介入事件が最大の政治懸案に浮上している状況だ。 国家情報院大統領選挙介入の真相糾明とナム・ジェジュン国家情報院長辞退、国家情報院全面改革などを要求するろうそく集会がますます大きくなっていて、野党も街頭に出た。 キム・ハンギル民主党代表は朴槿恵大統領と談判しようとして党首会談を促している。 民主社会ではありえない国家機関の選挙介入を、国民皆が糾弾している局面だ。 ところで何故このような時に朴大統領は総体的官権選挙の主役だったキム元長官を事実上 権力序列2位という秘書室長に重用したのだろうか。

 朴大統領は彼を秘書室長に任命しながら何を考えたのだろうか。 ひょっとして国家情報院の大統領選挙介入、それは大したことではないという言葉を言いたかったのではないだろうか。

 14代大統領選挙当時に戻ってみよう。 ‘チョウォン河豚料理店事件’が弾けるや金泳三候補側にとっては非常事態となった。 抜き差しなら無い官権選挙に亡国的な地域感情まで助長すれば逆風が吹くことが明らかだった。 金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)、鄭周永(チョン・ジュヨン)の三つ巴構図で行われた大統領選挙で敗北しかねない危機状況だった。 狙いたがわず保守言論が援軍として登場した。 選挙当日の12月18日<朝鮮日報>は社説を通じて "今回の盗聴事件はその目的と関係なく不道徳なことであり、今後私たちの社会の慣行と市民生活に少なくない問題を波及させるだろう" と主張した。 チョウォン河豚料理店事件を官権選挙と地域感情助長という本質は隠して住居侵入による‘盗聴事件’に変身させてしまったのだ。 金泳三候補も‘私は今回の事件の最大被害者’として‘公明選挙を行なうという私の素朴な夢にあまりにも大きな損傷を与えた’と嘆いて見せた。

 何かよく似た状況が思い起こされないか。 ちょうど20年後の2012年12月11日、国家情報院のコメント疑惑事件に火が点いた。 しかしセヌリ党はこれを‘国家情報院女子職員監禁事件’に変身させた。 朴槿恵候補も‘女性人権侵害’云々して自身の粗探しをして選挙に影響を及ぼすための民主党のとんでもない謀略だと追い詰めた。 テレビ討論会ではコメントをしたという証拠があれば出して見ろと野党候補を追及した。 結局、大統領選挙過程で致命的な打撃を受けかねなかった国家情報院大統領選挙介入事件をもに見事にうっちゃり余裕で大統領に当選した。

チョン・ソック論説委員室長

 再び14代大統領選挙当時を見てみよう。 金泳三候補は大統領に当選した直後に開いた記者会見で 「(チョウォン河豚料理店)盗聴を必ず明らかにする。 そして法の厳重な処罰を受けさせる」と話した。 結局、選挙法違反で起訴されたキム元法務長官は無罪宣告を受け、共謀した関連者は反対に栄転した。 官権選挙を告発した国民党関係者たちは‘住居侵入罪’で処罰を受けた。

 国家情報院大統領選挙介入事件もチョウォン河豚料理店事件と似た道を辿っているようだ。 20年の歳月が流れたが良くなっていない。 国家的不幸だ。 誰が大韓民国の民主主義をこのように退行させているのか。 もう朴槿恵大統領が直接答える時だ。

チョン・ソック論説委員室長 twin86@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/598422.html 韓国語原文入力:2013/08/06 11:47
訳J.S(2152字)

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