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[社説] 戦時作戦権の返還延期を警戒する

登録:2013-04-22 23:53 修正:2013-04-23 07:39

 北韓の第3次核実験を口実に、2015年末まで米国が行使している有事の際の作戦統制権(戦作権)の還収時期を再延期しようという主張がじわじわと頭をもたげている。延期論が提起される状況や論理が2009年の北韓の2次核実験以後と非常に似ている。当時も北韓が核実験をした後に延期論が出て、翌年の韓-米首脳会談で2012年4月までだった還収時期を延期した。今回もパク・クネ大統領の5月初めの米国訪問を前に、このような主張が急速に増えている。特異な点があるとするならば、戦作権返還推進の主役だったバウェル ベル・元韓米連合司令官までが加勢して一部政界と軍周辺の延期論に加勢していることだ。彼らは北韓の核能力を効果的に制御するためには、米国がこのまま戦時作戦権を行使するのが有利だと話す。

 北韓の核脅威に対抗して抑止力を強化しなければならないのは言うまでもない。北韓がむやみに挑発できないよう同盟を強化して、多様で軍事的な抑制手段を確保する必要はある。しかし我が国が戦作権を行使することになれば対北韓の抑止力が弱まるという論理はひどく粗っぽい。戦作権の還収延期で得る利益だけを考え、それによって失うものは考えない浅はかさだ。

 戦作権は有事の際に一国の軍隊の作戦を統制できる権限だ。ある国の主権を象徴する尺度だ。壬辰倭乱(訳注、文禄・慶長の役)の際に朝鮮を支援するために来た明国軍が朝鮮の軍事力を握り横暴を働いた歴史的な経験を顧みただけでも一国が軍事力を自ら行使することがどれほど大切なことかが分かる。しかも米国は海外米軍の‘先端機動軍化’という自国の都合によって戦作権の返還をはかろうとしている。相手が渡そうとしない主権であっても我々のものだというのがまともなのに、渡そうとしているものも受け取らないというのは愚かだ。

 戦作権を還収してこそ我が国の対北韓抑止力がより一層強化されるという主張にも耳を傾ける必要がある。現在、米軍が戦作権を行使している状況では、延坪島(ヨンピョンド)砲撃のような事態の際に自主的に報復できる手段が制限される。私たちの判断ではなく米軍の判断により作戦がなされるためだ。

 政府は、対北韓抑止力の弱化とあまり関係がなく、軍事主権が関わっている戦作権の還収延期論に振り回されてはならない。彼らの論理に従えば北韓の核が存在する限り私たちは永遠に戦作権を握ることはできない。有り得ないことだ。自分の軍隊を指揮統制する態勢になっていない国の軍隊では、いくら同盟が強固でも相手に恐れをなしえないことを知るべきだ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/583986.html 韓国語原文入力:2013/04/22 19:00
訳T.W(1183字)