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[朝の陽射し] 若い指導者の夢想/オ・テギュ

登録:2013-04-16 22:31 修正:2013-04-17 06:54
オ・テギュ論説委員

 幼かった時、自然の勉強をしながらこんな夢想をしたことがあった。 火力発電所や水力発電所をそんなにたくさん作るのではなく、一度発電した電気で電動機を回して、それで再び発電機を回す作業を繰り返せば良いのではないかと。 分かって見れば、それが‘永久発電’または‘永久機関’のアイディアであった。 しかし、それが幻想だということを悟るまで、そんなに長い時間はかからなかった。 本にすでに解答が出ていた。 ‘エネルギーには運動エネルギー、位置エネルギー、熱エネルギー、電気エネルギーなど多くの形態があって、それらは相互転換されることができ、この時エネルギーの総和は一定だ’というエネルギー保存則によってこうしたことは絶対に起きえないという事実が。 永久機関は、あたかも中世で化学処理を通じてただの鉄の塊を金にするという錬金術のような夢に過ぎないことを知ったのだ。

 永久発電や錬金術は‘最小の費用で最大の効果を上げる’という経済論理が極端に現れたケースといえる。 だが、それほど極端でないからといって問題にならないというわけではない。

 その代表事例が現在の我が国の使用済核燃料再処理推進派が主張する高速炉建設だ。 彼らはパイロプロセシング(乾式再処理工法)を利用して使用済核燃料を再処理し、ここから出てくるプルトニウムを高速炉で燃料にリサイクルすることを繰り返せば、核燃料に対する心配を事実上なくせると話す。 要するに‘パイロプロセシング-高速炉’の組合わせが黄金の卵を産むガチョウになるという話だ。 だが、日本の高速原型炉‘もんじゅ’の失敗事例に見られるように、高速炉はまだ技術・費用・安全面で落第点に留まっている。 日本は高速原型炉もんじゅを1985年に建設し始めたが、建設費用だけでも当初の360億円から完成された1994年には4000億円に増えた。 また、完成の翌年に行なわれた性能試験中に事故が発生し、以後に事故隠蔽・捏造などが明らかになりまともに稼動することさえ出来ずにいる。 もんじゅ事態は高速炉が黄金の卵を産むどころか、人とお金を奪って食べる怪物になりうることを見せている。

 実現可能性が低く、持続可能でもなく、危険なだけの夢は早くやめにするのが上策だ。 上側地方の若い指導者が掲げた‘経済建設-核武力建設並進論’こそ、上記の三拍子を等しく備えた幻想に相違ない。 彼は核武装を通じて防衛力を高めながら、同時に民生も改善できると大言壮語する。 全般的軍事力強化にかかる資金を核武装分野に限定して投じれば、それだけ経済建設側に回せる資源も大きくなるという論理だ。 父親の時期に経済改革を行おうとしたが失脚した経済専門家を再び総理に抜てきしたことを見れば、それが本当に可能だと信じているようだ。

 だが、それは試験管の中だけで通じる妄想だ。 現在持っている資源だけ考えれば、在来式軍備強化より核武装を強化する方が金がかからず、その余分を民生に投じるという言葉が成立しうる。 だが、そちらの地方は外部から食糧・エネルギーなどの流入なしで持続できる社会ではない。 資源の外部輸血なしでは年を経るほどに次第に縮小せざるを得ない。 核武装はそれでも流入していた外部資源の流れを塞ぐ役割をすることが明らかだ。

 英国の歴史家アクトン卿は 「絶対権力は絶対に腐敗する」と言った。 絶対兵器と呼ばれる核兵器は、絶対に核保有国の安全を保障しない。 歴史がそれを証明している。 リビアやイラク、バルカン半島の例だけでなく、ロシアを見れば簡単に分かることだ。 若い指導者は一日も早く幻想から目覚めなければならない。

オ・テギュ論説委員 ツイッター・フェイスブック @ohtak5

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/583062.html 韓国語原文入力:2013/04/16 19:02
訳J.S(1652字)

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