朝鮮半島をめぐる緊張が続き、政府が対北特使を送るべきだという声が大きくなっている。特使派遣を朴槿恵大統領に公式提案した民主統合党はもちろん、一部セヌリ党の議員も同様の話をしている。政府は‘対話の雰囲気が醸成されていない’とばかり言わず、特使派遣を積極的に検討する必要がある。
政府は特使派遣に反対する理由として、まず北の威嚇に屈服したという誤った信号を送りかねないという点を挙げている。また私たちが対話を提案しても北が受けるかが分からず、対話がなされても成果があるか疑問だと言う。このような態度の背景には、今のような朝鮮半島の緊張が持続しても大きな問題ではなく、時が過ぎれば北が折れてくると見る楽観的な判断が下地にあるようだ。しかし、これは過去数年間繰り返されてきた判断ミスだ。その結果、核問題はさらに悪くなって朝鮮半島の緊張レベルは一層高まった。
対話は意地の張り合いではなく、危機を静めて究極的な解決法を模索するために必要なものだ。今のように南北間にまともな対話の道すらない状況は明らかに正常ではない。北の考えを把握して南側をはじめとする関連国の心配と提案を伝えるためにも対話はあるべきだ。このような過程自体が状況改善に寄与する。さらに特使は信頼構築を通じて一層高いレベルの対話につながる術に成りえる。北が特使の提案を拒否するという考えは浅はかだ。試みもしないで決め付けるのは責任ある態度ではない。
今や米国も北韓の威嚇に対抗した武力示威を自制して、対話を模索するような姿を見せている。それと共に米国は韓国と中国が主要な役割を果たすことを望んでいるという話が出ている。北韓問題が依然としてバラク・オバマ米国行政府の対外政策で最優先ではないという意味だ。しかし中国は一歩下がって、北韓-米国の直接対話を促す態度を見せている。結局わが政府が積極的に動かなくてはこの膠着状態を解決しがたい局面だ。朝鮮半島緊張の最大の被害者が我が国であることを考えれば、避けては通れないことでもある。特に開城(ケソン)工業団地の問題は、当事者である南北の対話を行うだけで解決できる。
北韓に関連した問題を軍事力では解決できず、対話と外交が中心にならなければならないという事は明らかだ。対北韓特使はその手段の一つであり、これは朴槿恵政府が示した朝鮮半島信頼プロセスを働かせることにもなる。北韓のミサイル発射が差し迫っていることが明らかになっている。その後の状況まで念頭に置いて局面を変える努力が求められている。