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[特派員コラム] 慰安婦問題に関する安倍総理の考え/チョン・ナムグ

登録:2013-03-01 00:03 修正:2013-03-01 00:07
チョン・ナムグ東京特派員

 2007年6月14日付 米国<ワシントン ポスト>新聞に旧日本軍による慰安婦強制連行を否定する‘歴史事実委員会’という日本の団体の意見広告が載せられた。 5年半後の昨年11月4日、米国ニュージャージー州で発行される地方紙<スターレジャー>に同じ主張の意見広告が再び載せられた。 この広告も同じ団体が出したが、今度は賛同するとして名前をあげた国会議員38人の中に安倍晋三自民党総裁(現総理)の名前も入った。

 <東京新聞>が最近この二つの広告を比較して見せてくれたが、その内容が興味深い。 二つの広告は共に‘事実’として三点を挙論した。 第一は、日本‘陸軍’が女性たちに自身の意思に反して強制的に売春を強要したとことを示す歴史的文書は発見されなかった。 第二に、女性たちに対する非人道的犯罪を日本軍は厳しく取り締まった。 第三に、日本陸軍に配属された慰安婦は性的奴隷ではなく、当時世界のどこにでもあった公娼制度下で働いた。

 ところが二回目に出した広告で歴史事実委員会は、一回目の広告には事実として入れていた二点を削除した。 その中でも重要なものがいわゆる‘スマラン事件’に対する言及だ。 この事件は1944年2月、日本陸軍の将校が自分たちの占領下にあったインドネシア、ジャワ島スマラン近郊のオランダ人収容所からオランダ人女性24人を強制的に連れて行き性的奴隷として働かせた事件だ。 慰安婦強制連行について謝った河野談話が出される前年の1992年<朝日新聞>の報道で知らされた。 歴史事実委員会は2007年の広告でこの事件についてこのように書いた。

 "事件が明らかになった時、責任ある将校は処罰された。 ここに関与した者や他の戦争犯罪者は後にオランダ法廷で裁判を受け、死刑を含む重い罰を受けた。" ところがこれは事実ではないという。 <東京新聞>は吉見義明 中央大教授の言葉を引用して、当時南方軍幹部候補生 大隊長は後に師団長にまで昇進し、責任者が死刑の宣告を受けたのも戦争が終わった後に1948年インドネシア軍事法廷においてであり、日本による自発的な処罰ではなかったと指摘した。

 歴史事実委員会が新しく広告を出し、このスマラン事件に関する記述を削除した理由は明らかに見える。 日本軍による強制連行があったことを裏付ける確実な事件があり、これをもっともらしく潤色しようとしてもなす術がなかったためであろう。 慰安婦強制動員の歴史を先頭に立って否認してきた彼らとしてはとても気分の悪い事件であろう。

 この事件に対する言及を除いて出した二回目の意見広告も、その言葉遊びを見れば、痛ましいことこの上ない。 安倍総理の同志たちは慰安婦強制連行がなかったとは積極的に言えない。 それを裏付ける文書が発見されなかったと主張するのみだ。 そのような文書は前もっていくらでも無くせたし、見つかっても隠しておいて無かった言える。 また、軍が強制的に連れて行って初めて犯罪になるわけでもない。 嘘をつきだまして連れて行き、性的奴隷として働かせる誘拐行為は犯罪ではないと言うのか? そのようにして行った人々が性的奴隷の生活を強要されたという証言はいくらでもある。 安倍総理が韓国に生半可な和解の手を差し出そうとする時、私たちは必ず彼の名前の入っているその広告を取り出して見せてやらねばならない。

チョン・ナムグ東京特派員 jeje@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/576019.html 韓国語原文入力:2013/02/28 22:09
訳J.S(1552字)

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