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[朴露子ハンギョレブログより] 「非核化」の手順

登録:2013-02-20 17:45 修正:2013-02-20 20:18
朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov) ノルウェー、オスロ国立大教授

 まもなくゲント大学で特別講義をする用事があるので、数分後には空港に向けて出発しなければなりません。でも、駆け付ける前にどうしてもこれだけは書いておきたいと思います。ここ数日間ノルウェーのブルジョア日刊紙記者から同僚や学生たちにいたるまで、周りの人々から最も多く受けた質問は「北朝鮮非核化への展望」と非核化要求の現実性に関するものでした。また現在の南韓の対北政策の骨子も「非核化を前提とする対話、協力」、すなわち「非核化」を優先しているので、どうしてもこの部分については簡単にでも一言触れなければなりません。

 アジアにおいて北朝鮮以外に「国際社会」の公認を得ずに核を自主的に開発した国としては、イスラエルとインド、パキスタンなどがあります。たとえば、北朝鮮より約10倍以上の核兵器を保有していると推定されるイスラエルを見てみましょう。時折サウジなどの、イスラエルの公式的な「反対側の国家」がイスラエルと関係正常化の交渉を試みたりしています。では、その交渉の条件に「非核化」が入ったことはあるでしょうか。これまでアラブ諸国でイスラエルと国交を結んだ国家としてはエジプトとヨルダン王国などがありますが、その関係正常化の過程でイスラエルに対する「核放棄」の要求が一度でもありましたか。そうですね、アメリカも今やインドに核放棄の要求をしなくなっている時分に、インドに核放棄の要求をする隣国はどこにあるでしょうか。パキスタンには?参考までに1953年以降、公式的にはどこにも参戦したことのない北朝鮮と異なり、イスラエルやインド、パキスタンなどは去る半世紀間にかなりの規模の戦争を数回にわたり起こした国々です。「非核化」圧力を持続的に受けている国は、まだ核兵器がないとされているイランのみであり、その圧力の強さに正比例してそちらでは原発に対する民族主義的な愛着と熱情が全国的にさらに強まっているといえます。

 このような事例からわかることは? アメリカの地域的パートナー(イスラエル)ないし下位のパートナー(パキスタン)、そして地域強大国(インド)は事実上核を安心して開発しても良いというのが私たちの世界なのです。しかし、北朝鮮が核を持ってはならない真の理由とは? アメリカのパートナーでもなく、かといってインドのような第三世界の巨人でもないからです。北朝鮮に対する「非核化」要求が殺到し、「非核化」などを口実にして米、日、そして部分的には南韓とEUがたった今関係を凍結したのは、アメリカとの敵対的な関係が清算できていない北東アジアの弱小国が「恐れることなく」核に手を出したからです。しかし、そのような要求が超強硬な圧力とともに殺到するからといって、「核放棄」が果して実現するでしょうか。イランの先例からわかるように、とんでもありません。南韓の輸出型経済が「国民的な凝集力の中心」になり多くの南韓の住民たちの自負、「国民的な所属感」の土台になっているように、北朝鮮では「核」とは既に人民たちの凝集力、彼らの矜持、彼らの自信の土台になっています。原則上すべての核を廃棄しなければならないと考えている社会主義者である私としては、これらのすべては大きな悲劇です。極めて大いなる悲劇なのです。しかし、その悲劇を果して誰が生んだのでしょうか。本当に核を放棄した唯一の国であるカダフィのリビアを滅亡させたヨーロッパ/アメリカの支配者たちは、キム・ジョンウンに「核を放棄したらどうなるか」について極めて良いレッスンをしたではありませんか。キム・ジョンウンがそれを学習しなかったと本気で信じているのでしょうか。そしてこれまで北朝鮮に対して敵対的な政策を取ってきた米日韓の保守勢力たちこそがこの悲劇の主犯ではないでしょうか。

 私は世界のすべての核 -南韓の原発をも含めて!- が廃棄され、核から自由な世界が作られることを切に願っています。進歩新党が正しく主張しているように、結局「あらゆる核の廃棄」だけが窮極の答えです。しかし、核廃棄の事業は、核を最も多く持っており、対外戦争の前歴が最も多い列強たちから先ずは率先して進めるべきではないでしょうか。そして北朝鮮の「脱核」を本当に望むのなら、北朝鮮はアメリカや日本と国交を樹立し、名実共に北東アジア地域共同体の「メンバー」にならなければなりません。そして、在韓米軍の撤退のような「アメリカの対北圧力」の大幅な縮小に先ずは取り掛からなければなりません。米・日との敵対関係、そして在韓・在日米軍の与えている圧力が次第に消えるようになれば、北朝鮮の指導部はもしかすると核を段階的に廃絶しても安全と判断するかもしれず、そうなることを願うべきでしょう。しかしより重要なことは、北朝鮮の「核廃棄」が対話の条件になってはならず、対話と対北圧力の解除の結果になるほかはないのが道理だということです。

http://blog.hani.co.kr/gategateparagate/56794 韓国語原文入力:2013/02/19 20:38
訳J.S(2104字)

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