大統領職引継ぎ委員会が来月スタートする政府の組織を現行の15部2処18庁に2つの部を加えた17部3処17庁にすることを昨日発表した。国民の安全と経済復興という、朴槿恵(パク・クネ)大統領当選人の国政哲学が今回の政府組織改編に織り込まれたと同委員会は説明している。
今回の改編では経済副総理制が復活し、未来創造科学部と海洋水産部が新設された。企画財政部長官が兼務する経済副総理は経済部署のコントロールタワーの役割を受け持ち、科学技術と情報通信業務を総括する未来創造科学部は情報通信技術(ICT)の専門担当次官制が導入された。外交通商部の通商業務は知識経済部に移管された。知識経済部は産業通商資源部に、行政安全部は安全行政部に改編されたし、特任長官室は廃止された。
今回の改編は全体的に5年前に現政権になって廃止された科学技術部、海洋水産部、情報通信部の機能を再生したり強化したりすることによって李政府が壊した政府の組織を以前の姿に復元、整理するという意味がある。また朴氏が保守を基盤にしているものの、政府の積極的な介入を求める‘大きな政府’の基調を選んだという点も注目される。
経済副総理の新設は両刃の剣に映る。企画財政部長官を副総理に格上げすることによって経済運用の効率を期する意と理解される。経済状況が難しいだけに経済チームが呼吸を合わせて機敏に対処する必要はある。歳出構造調整などの財政改革と財政の積極的機能を生かすのにも役立つだろう。ただし経済副総理新設が過去の朴正熙(パク・チョンヒ)時代の政府主導型成長モデルへの回帰につながっては困る。'官冶'の核だった経済企画院副総理の時期に戻るには時代状況があまりに多く変わっている。
未来創造科学部の場合、未来の成長力と雇用創出のための政府の様々な機能を一つに集めて、いわゆる創造経済を実現するということだが、当初の意図ほど成果を上げられるかは疑問だ。情報通信と科学技術分野もまた別の成長主義論を加速することもありえる。未来創造科学部の新設は朴氏の大統領選の主要公約であるだけに、きちんと成果を上げられるよう緻密に準備する必要がある。
朴氏が大統領選挙の過程で強調した経済民主化と福祉に対する政府組織次元の裏づけがない点も残念だ。福祉拡大のためにはそれに見合った組織的な裏づけが必要だ。経済副総理の新設が福祉の地位を格下げさせる結果につながってはならない。労働部門もまた今回の改編から省かれた。朴氏は中小企業の大統領になると公約したが、中小企業部の新設も失敗に終わっている。中小企業庁の機能を強化することにしたものの、当初の期待には不十分だ。
外交通商部から通商機能を離して産業通商資源部に移管したことは通商部門と国内産業との連係を強化するためのものと見られる。これまで通商政策機能が外交部にあったために外交的考慮が優先視され国内産業から乖離しているという指摘があった。ただし自由貿易協定締結のような中長期的な通商戦略を推進するのに支障が無いようにしなければならないだろう。
今回の改編は全体的に成長主義論に偏っているという評価を下さざるをえない。朴氏は公約では福祉を強調しておきながら、実際は成長主義に回帰したのではないかという憂慮も出てくるかも知れない。大統領選で国民が朴氏を選択したのは、過去の開発主義時のように戻れということではなく、分配と成長を両立させることによって新たに成長する力を作ってほしいという注文からだった。朴氏は国民のこのような注文を常に肝に銘じるように願う。