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[社説]‘時代精神’を具現する大統領を選びたい

登録:2012-11-26 00:41 修正:2012-11-26 05:48

 朴槿恵(パク・クネ)セヌリ党候補と文在寅(ムン・ジェイン)民主統合党候補が昨日 中央選挙管理委員会に候補登録を済ますことによって18代大統領選挙の本格的な幕が上がった。伝統的な与野党両者対決構図の中で両候補は今後25日近い間、有権者の信任を得るための激しい火花を散らす競争を行うはずだ。

 大統領選挙は国家と社会が追求しなければならない時代精神を求めてこれを実現する適任者を探す過程だ。興味深いことに今回の大統領選で各候補が掲げた時代精神は似ている。福祉、平和、共存、疎通、和解、統合などがまさにそれだ。このような価値が私たちの社会に全て根をおろす時になったということに社会的な合意がなされた結果だろう。各候補の政策的なテーマも経済民主化、福祉国家建設、格差解消、朝鮮半島の平和などに集約できるもようだ。

 だが、このような見かけの類似性とは異なり、本質的な差は明確だ。双方が同じように疎通(対話)を口にするが、‘本当の疎通’もあって‘偽の疎通’もある。‘口だけの福祉’、‘誠意のない和解’、‘スローガンだおれの平和’もあるだろう。大統領選挙はこのような差を有権者が確かめる過程だ。経済民主化問題だけにしても流通産業発展法改正案が国会を通過しなかったことだけ見ても差は歴然としている。

 時代精神の実現は単純に公約として表現される言葉や文章の次元を越えている。候補の人生の足跡、人格と品性、哲学と理念などが一体化してこそ真偽を計ることができる。候補だけでなく、むしろ彼らを取り囲む人たちと陣営の面々から時代精神を推進する意思がはっきりと分かったりもする。各候補はもちろん彼らとつながる政治勢力に対する精密な検証と判断が必要な理由だ。

 今回の大統領選挙でもう一つ忘れずに確かめなければならない課題は、人権と民主主義に対する意思だ。一時国際的な賛嘆の対象だった韓国の民主主義は李明博政府になって後退に後退を繰り返して嘲弄の対象にまで転落した。新しい政権は民主主義を開花させる重大な責任に向き合っている。ある面でこれは他の時代精神に先行する要素であろう。

 今回の大統領選挙は誰がなんと言っても‘政権交替’か‘政権再創出’かを決める政治行事だ。単純に朴槿恵-文在寅の両候補の争いでなく、李明博政府の継承と断絶を決定する分岐点だ。与野党の既成政界はこれまで‘無所属候補の風’に対して政党政治の重要性を強調してきた。政党政治を裏付ける最も大事な言葉はまさに責任だ。有権者が‘政権審判’と‘政権再創出’のどちらの手をあげるかは予断できない。しかし大統領選挙のこのような性格自体を隠して糊塗する姿勢は堂々としたものではない。

 今回の大統領選挙は新しい政治実現の最初のボタンをかける重要なきっかけでもある。政治刷新、政党変化に対する国民の熱望は安哲秀候補の辞退にもかかわらず、かえって一層切実になった。各候補は政治革新の未来の青写真を繰り広げることで終わらずに、選挙の過程でも新しい政治を行動で実践しなければならない。口では新しい政治を言いながら、左右の色分け論や中傷などネガティブ戦略だけに依存しては新しい政治を語る資格はない。

 選挙は‘51対49の勝負’という話も出るほど、超薄氷の争いが予想されている。あちこちに散在する不確定要素がどのように選挙の行方を揺るがすか誰も簡単には予測できない。両候補が混沌の渦中にあっても真正性を失わずフェアプレイを繰り広げて鮮やかな勝負をつけることを期待する。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/562209.html 韓国語原文入力:2012/11/25 19:09
訳T.W(1578字)

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