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[社説]このような軍では枕を高くして寝られない

原文入力:2012/10/11(1248字)

軍の有り様が情けないことこの上ない。国民の安全と危機を守り国土を防衛する使命はおろそかにし、してはならないことは人一倍だ。最近相次いで繰り広げられた前線の鉄柵境界のミスおよび虚偽報告、従北勢力を敵に規定する国防部の教育指針をめぐる話だ。軍がへんなよそ見をしているのだから、起きてはならない境界の事故が起きるのは当り前に思える。このような点から二つの事案は軍の逸脱ぶりを示すコインの両面といえる。

 軍は2日、江原道(カンウォンド)高城郡(コソングン)の22師団のエリアで北韓の兵士がわが方の鉄柵境界を越えて将兵が寝起きする生活館まで接近したことに全く気づかなかったという。この兵士が生活館の窓をたたいて亡命の意思を明らかにしてから初めて警戒網が破られたことに気づいたというのだ。さらに一層許しがたいのは、チョン・スンジョ合同参謀議長が8日の国会国防委の監査で "監視カメラを通じて身辺を捕捉していた" と‘偽り’の答弁をしたという点だ。軍当局は該当部隊から最初にそのように報告してきたので、合同参謀も分からなかったと弁解しているが、いかにあっても軍の規律が大きく乱れているのは明らかだ。責任を下にだけ順送りするのでなく、軍首脳部から厳重な責任を負わなければならないはずだ。

 境界のミスは今回だけでない。先月9日にはある北韓住民が仁川市(インチョンシ)や江華郡(カンファ軍)の喬桐島(キョドンド)に入ってきて六日間、隠れ過ごして住民の申告で捕まることもあった。軍は住民が申告するまで鉄柵に異常があったことさえ気づけなかった。軍が鉄柵に先端の監視カメラと警報装置を付けても軍規が確固とししていなければ全く無用の長物だということを二つの事例はよく示している。

 このような渦中に国防部は一昨日、‘従北勢力を国軍の敵’と規定した精神教育教案を発表した。国防部はこの教案で、従北勢力を‘大韓民国の安保を威嚇している北韓の対南戦略路線に盲従する利敵勢力で、明らかにわが国軍の敵" と主張している。危険なことこの上ない論理展開だ。従北勢力という用語はマスコミや政界で使う流行語に過ぎない。このような用語で‘国軍の敵’云々することからして、軍当局の民主主義に対する理解不足と浅はかさを表わすものだ。さらに深刻なのは裁判所が判断することに、国防部が分不相応に乗り出しているという点だ。いかなる勢力や人が、国軍(または、国家)の敵という判断は裁判所の業務であって国防部が勝手に下せるのではない。

 軍はすべての国民が法の枠の中において自由に考えて安心して暮すことができるように安保を堅固にすることが本業だということを忘れてはならない。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/555372.html 訳T.W