11月に朝米首脳会談が行われる可能性が取り沙汰される中、李在明(イ・ジェミョン)大統領が「ペースメーカー」としての役割を改めて強調し始めた。トランプ米大統領を「ピースメーカー」として称え、朝米首脳会談を朝鮮半島の平和定着のきっかけにしようとしているものとみられる。
李大統領は19日夜、Xへの投稿で「韓米合同演習や野外機動訓練の縮小を通じてでも、朝鮮半島における平和体制の構築に向けた対話環境を整えようとするトランプ大統領の意志と努力に共感し、その決断に敬意を表する」とし、「今回のトランプ大統領のメッセージは、朝鮮半島において敵対と対決を超え、平和を築くための苦心に満ちた大きな決断だと思う」と書き込んだ。トランプ大統領は16日(現地時間)、トゥルース・ソーシャルへの投稿で、「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)氏と私の非常に良好な関係を考えると、米国がかつて韓国との合同軍事演習に参加することに合意していたことは望ましくないと思う」と述べ、韓米演習の縮小を指示したと明らかにした。
李大統領は特に、トランプ大統領の「ピースメーカー」としての役割を支える「ペースメーカー」として最善を尽くすと強調した。李大統領は「トランプ大統領の決断が、朝米間の信頼構築と対話再開を経て、朝鮮半島の安定した平和体制の構築につながることを期待する」とし、「すでに数回にわたり明らかにしたように、私はトランプ大統領のこうした『ピースメーカー』活動を促進し、貢献する『ペースメーカー』としての役割に最善を尽くす」と述べた。李大統領は昨年8月の韓米首脳会談で、韓国政府が朝米対話を後押しするペースメーカーとしての役割を果たすことで、朝鮮半島の非核化と平和を実現するという構想を明らかにした。
李大統領のこうした発言は、朝米会談の実現を通じて、行きづまった南北関係に風穴を開けようとする意図が反映されたものとみられる。李大統領は15日の光復節記念演説で、「戦争を終結させ、朝鮮半島の不安定な停戦体制を平和体制へと転換する道程に乗り出す」とし、「終戦に向けた当事者間の議論」に言及した。南北対話が停滞している状況で、米国や中国の役割を強調したのだ。韓国政府も李大統領の構想に歩調を合わせ、朝米対話の再開に向けた支援の意志を繰り返し明らかにした。
チョン・ドンヨン統一部長官は20日、記者団に対し、「今は北朝鮮と米国の時間、トランプ大統領と金正恩委員長の時間だ」とし、「北朝鮮の核開発中止に向けた最初の関門は、朝米が会談することであり、我々は(朝米対話の再開を)懸命に支援しなければならない」と強調した。
李大統領の発言には、朝米首脳会談から韓国が除外される、いわゆる「パッシング」との批判を意識した面もあるものとみられる。トランプ大統領は、朝米首脳会談には積極的なメッセージを送りつつも、韓国政府に対しては対米投資プロジェクトやホルムズ海峡の安全保障協力に非協力的だとして、冷淡な態度を示している。これに加え、韓米合同軍事演習まで大幅に縮小され、保守層を中心に「韓米同盟が弱体化しているのではないか」という声があがっている。
鍵となるのは、李大統領の意図通り、韓国が「パッシング」されることなく、ペースメーカーの役割を果たせるかどうかだ。ソウル大学統一平和研究院のチャン・ヨンソク客員研究員は、「(朝米首脳会談が実現した場合)金正恩委員長の地位やトランプ大統領の政治的目的だけに利用されるイベントで終わることには警戒すべきだ」とし、「韓国の安全保障上の懸念を実際に解決できる交渉となるよう、具体的な役割を果たさなければならない」と指摘した。
また、朝米会談が実現した場合、これまで政府が堅持してきた朝鮮半島非核化の原則をたやすく譲歩してはならないとの指摘もあがっている。東国大学のキム・ヨンヒョン北韓学科教授は「韓国がパッシングされた状態で朝米を中心に対話が進めば、非核化の議題は話し合われないのではないかとの懸念がある」としつつ「だからこそ韓国も積極的に取り組み、我々の(非核化という)目標を議題にあげるのが外交上の課題」だと述べた。