「ホルムズ海峡の通行料はない」(米国のトランプ大統領)
「60日後からサービス手数料を徴収する」(イランのファルス通信)
米国とイランが署名した、終戦と後続協議の枠組みを記した覚書(MOU)が公開されていない中、イランによるホルムズ海峡の通行料徴収について両国は異なる主張を展開しており、混乱が拡大している。トランプ大統領は15日(現地時間)にフランスのリゾート地エビアン・レ・バンで開幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、「フランスにどのような支援を望むか」と問われ、「私は、我々に大きな助けは必要ないと思う。我々は(海峡が)開放され、通行料がない状態となるようにする合意を結んだから」だと答えた。この日、フランスのマクロン大統領との二国間会談の会場に姿を現したトランプ大統領は、「その問題については少々論争があったが、最終的に通行料はないことになった」として、「(海峡が)開放され、自由な航行が保障されると思う」と語った。
しかしイランは、覚書に則ってホルムズ海峡通行時に「手数料」を徴収することを予告している。イラン外務省のエスマイル・バガイ報道官はこの日の記者会見で、「覚書は、イランが安全な航行を保障するために必要な措置を取ることを規定している」として、「イランは通行料を課すつもりはないが、航行支援、環境保護、船舶保険などのその他の関連するサービスについては料金(fees)を徴収することになるだろう」と語った。米国とイランの交渉期間である60日間のみ無料で、その後は通行料が課されるという主張もなされている。イラン革命防衛隊系メディアのファルス通信は情報筋の話を引用し、覚書に「今後60日間のみ船舶の無償通航を許可する」と明記されているとして、「60日過ぎればイランは安全、航行、環境保護、保険サービスを提供し、それを通じて海峡を通過する商船から生じる収益を国家経済の発展に活用する計画」だと説明した。
海峡通行料の徴収に対する国際社会の世論は冷ややかだ。マクロン大統領はこの日、フランスのテレビ局TF1の番組で、イランによる海峡サービス料金徴収は「言葉遊びにすぎない」とし、「通行料が課されないよう全力を尽くす」と述べた。同氏は、イランにホルムズ海峡で料金を徴収されると「前例を作ることになる」として、その他の国々も近隣の海峡で通行料を徴収するようになれば世界中で物価が上昇するとの懸念を示した。国際法には、ホルムズ海峡やマラッカ海峡のような天然の水路の通過に通行料を課せるとする規定はないが、パナマ運河やスエズ運河のような人工の水路では沿岸国がサービスを提供して手数料を受け取ることが認められている。米国海軍大学海洋戦略学科のジェームズ・ホームズ学科長はそう説明しつつ、「イランが提供できる唯一のサービスは、船舶を攻撃しないことだけ」だとして、「それだけではサービスと呼べる基準には達していない」とニューヨーク・タイムズに語った。
海峡通行料をめぐる双方の主張の食い違いは、両国が署名したとされる覚書が公開されるまで続くとみられる。トランプ大統領は、覚書の内容は19日の署名式後に「公開されると思う」として、「公開されることを願う。なぜなら、これは非常に強力な文書だから」だと述べた。