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地下壕に避難したイランのハメネイ師、死亡に備え後継者候補3人を指名

登録:2025-06-23 10:20 修正:2025-06-23 10:39
空爆のなか、現政権を維持する意志
18日、イランの最高指導者事務所の公式ホームページで公開されたイランのハメネイ師。ハメネイ師が宗教指導者のホメイニ師の肖像画の下でテレビ演説をしている姿で、正確な撮影場所は公開されていない=イラン最高指導者事務所提供/AP・聯合ニュース

 イランの最高指導者であるハメネイ師(86)は、自身が暗殺された場合に備えて自分の後を継ぐ後継聖職者を指名し、地下防空壕(バンカー)に身を隠したという。ニューヨーク・タイムズの21日付(現地時間)の報道によると、ハメネイ師は軍の指揮体系全般にわたって戦争を率いる後任者も数人指名していた。

 ニューヨーク・タイムズのイラン高官らへの取材によると、ハメネイ師は現在、地下防空壕に留まっており、電子通信もほとんど使っていない。特に本人が暗殺された場合、アヤトラ(宗教指導者)職を継ぐことができる高位聖職者3人を指定し、この3人の中から新しい最高指導者を選出するよう、宗教最高機関である「専門家会議」にあらかじめ指示したという。同紙は「ハメネイ師の30年間の統治が直面した危機的な瞬間を最もよく示す事例」だと報じている。

 また、軍指揮官が任務遂行中に死亡した場合に備えて、軍指揮体系全般にわたって後任者を指定してもいる。電子通信を使っていないため、軍指揮官との連絡は信頼する側近1人を通じて行っているという。

 ハメネイ師はもともとテヘラン中心部にある厳重な保安施設を備えた「指導者の家」で過ごし、高官級会議も国民向け演説もその施設で行ってきた。異例の地下防空壕への避難は、それだけテヘランに向けた空爆が激しいということを反映している。イスラエルは攻撃初期、イラン軍の高位関係者らが留まっていた施設と居住地を集中攻撃し、政権首脳部の人物らを除去することに注力したが、これに対しイラン情報部はすべての高位当局者と軍指揮官らに電子機器の使用中止と地下待避命令を下した状態だ。

 衝突が激化するなか、イランは米国が介入することを含めた様々な可能性に対する準備を静かに進めていたと、ニューヨーク・タイムズが匿名の多くの高官らの話を引用して報じた。現在までアヤトラの指揮体系は依然として作動中であり、政界内部で反発の気流は見られないという。ハメネイ師は自身が暗殺される可能性を認識しているが、それを殉教だと考えていると関係者は述べた。

 自身が死亡した場合、自分が指名した3人の中から速やかに後継者を決めるよう専門家会議に指示したのも、現体制をそのまま維持するためとみられる。本来なら最高指導者を任命する過程は数カ月にわたる内部調整を通じて行われる。ジョンズ・ホプキンス大学のイラン専門家のバリ・ナスル教授(国際関係学)は、「体制維持を最優先価値としている」とし、「非常に計算された現実的なアプローチ」だと分析した。

 新政体制における最高指導者職はイランで強大な権力を持つ地位だ。軍最高統帥権者であり司法・立法・行政府のトップであり、最高宗教指導者の役割まで兼ねる。一方、一部で後継者として取り沙汰されてきたハメネイ師の息子のモジュタバ師は、今回の指名者リストに含まれていないという。

チョン・ユギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/1204005.html韓国語原文入力:2025-06-23 01:09
訳C.M

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