米国の情報機関は、イランがウラン濃縮施設を攻撃されたり、最高指導者が暗殺されたりすれば、核爆弾を製造するだろうと予想している。このような予想は、イランがまだ核兵器の製造を決めていないが、最近のイスラエルの対イラン攻撃と米国の参戦が、むしろイランを核兵器生産へと追い込んでいるという分析だ。
米情報機関は、イランは核爆弾の製造に必要な濃縮ウランを大量に開発しているが、核爆弾を作るかどうかはまだ決めていないとみている。ニューヨーク・タイムズが19日付で、情報関係者の話として報じた。このような見解は、トゥルシー・ギャバード国家情報局長がすでに3月に議会で証言した内容であり、これはイランの核開発の切迫を名目としたイスラエルの対イラン攻撃後も変わっていないと同紙は報じた。
同紙によると、もし米軍がイラン中部のフォルドゥのウラン濃縮施設を攻撃したり、イスラエルがイランの最高指導者を暗殺したりすれば、イランの指導者らは核爆弾の生産の方向に進むだろうという見通しを米政府の高官らが示したという。イランの核兵器開発の意志はまだ確定していないが、外部から直接的な軍事威嚇があった場合、「核兵器の保有」へと急激に戦略を変更する可能性もあるということだ。
イスラエルと米国内の対イラン強硬派は、核兵器の製造に関して「イランはすでに臨界点に達した」とし、イランがいつでも核兵器製造を始められると主張している。キャロライン・レビット大統領報道官は19日、「イランは核兵器の達成に必要なすべてのものを持っている」とし、「彼らが必要なのは最高指導者の決定であり、核兵器の生産が完了するまでは数週間を要するだろう」と述べた。このような評価は、イランが15日以内に核兵器を作るというイスラエルの情報機関モサドが提供した資料と類似している。
ところが、米情報機関はこれに関する見解を変えておらず、イランの核兵器製造には数カ月から1年かかるとみている。国際原子力機関(IAEA)と米情報機関によると、イランは濃度60%の高濃縮ウランを900ポンド(約400キロ)以上保有している。これを90%までさらに濃縮した場合、理論的に10個以上の核兵器を製造できる。実際に核兵器を作るには、追加濃縮とともに核弾頭の設計、小型化、ミサイル搭載など複雑な技術的段階が必要だ。
イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は2003年、核兵器開発を禁止する宗教令の「ファトワ」を発表した。これは「現在も依然として維持されている」と、ある情報関連高官は語った。同高官はまた、イランが15日以内に核兵器を製造できるというイスラエルの評価は、誇張された警告だと批判した。
イランがイスラエルと米国によって急迫した状況にさらに追い込まれれば、短い時間内に原始的な核兵器を作る可能性もある。小型化やミサイル搭載をしないこのような核爆弾は、広島に投下された重さ1万ポンド・長さ10フィートの原爆に似ている。飛行機から投下しうる。
米国のJ・D・バンス副大統領は、イランの核開発に関して米情報機関が3月に公式な立場を表明した後、新しい情報が入ってきたとし、イランの核開発が迫っているという根拠としている。しかし、情報機関の関係者らは、イスラエルなどから流れた情報はイランの核計画やその核爆弾製造の意志に関する新しい情報ではなく、従来の情報に対する新しい分析に過ぎないと反論している。
米情報機関がイランの核開発態勢に変わりがないとマスコミに語っているのは、2003年のイラク戦争のような災いを避けるためとみられる。当時のジョージ・ブッシュ政権は、イラクの核兵器開発をでっち上げて開戦の名目を作ったが、当時の情報機関もこれに同調した。米情報機関の実務高官らは、今回もこのような災いを繰り返す恐れがあるとみて、従来の情報分析を積極的にマスコミに流しているものとみられる。