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日本の自動車メーカー、トランプ「関税爆弾」の損益計算に奔走

登録:2025-02-03 10:50 修正:2025-02-03 12:43
31日(現地時間)、ドナルド・トランプ米大統領がワシントンの執務室で大統領令に署名した後、記者たちと言葉を交わしている/AFP・聯合ニュース

 「そんなものはどこにもない(ノー、ナッシング)」

 ドナルド・トランプ米大統領は31日(現地時間)、「カナダ、メキシコ、中国が高関税から免れる道」を尋ねた記者の質問にこう答えた。「辞書で最も美しい言葉は『関税』」という彼の哲学を実践に移すのに、米大統領就任からわずか10日しかかからなかった。

 市場では当初、トランプ大統領は「高関税公約」を現実化しないだろうという甘い期待があった。米国に輸入される物品に高関税を課せば、米国内の物価上昇で国民生活も苦しくなるという見通しがあったからだ。物価高は、民主党のバイデン前政権が大統領選で敗北した原因の一つでもあった。

 また、特定国家が米国に対抗して「報復関税戦争」に乗り出した場合、米国経済にも相当な打撃が予想されるため、発足したばかりのトランプ政権は下手に関税引き上げに出ることはできないだろうという見通しもあった。ところがトランプ氏は当選後の就任前の時期にこのような報道に対して「ありもしない、いわゆる匿名の出処を引用して、私の関税政策が縮小されると言及した」とし、「それは間違っている。フェイクニュースのもう一つの例だ」と反論した。そして就任後、直ちに関税公約を実践に移した。

 日本は、第2次トランプ政権の最初の標的となったカナダ、メキシコ、中国に対する関税賦課と関連し慌てて計算機を叩いている状況だ。特にトランプ政権の今回の措置は、日本の中心産業の一つである自動車分野に相当な影響を与えるものとみられる。日本のメディアは、昨年米国で販売された自動車の22%がメキシコとカナダで生産されたとし、メキシコ、カナダ、中国への関税政策は完成車と部品を含む米自動車産業の営業利益を330億ドル下げるという推定があると報じた。日本企業の中では、世界の完成車販売1位のトヨタ自動車をはじめ、日産、ホンダなどの主要企業がカナダとメキシコに生産拠点を置いている。

 しかし、トランプ政権の高関税政策が悪影響ばかりを及ぼすという見通しには意見が分かれており、日本政府は状況を鋭意注視している。民間シンクタンクの大和総研は、カナダとメキシコに25%の関税、中国に10%の追加関税が課されれば、日本の実質国内総生産(GDP)が2~3年以内に最大1.4%程度下落するとの見通しを示した。このような分析は、米国の関税賦課対象になった3カ国だけでなく、米国でも輸入品の価格が上がり、世界経済が低迷し、その余波が日本に及ぶと見通したもの。大和総研の分析は、米国の関税賦課対象になった3カ国が米国に報復関税を課すことを前提としている。

 一方で、むしろトランプ政権の関税政策が日本にとって「薬」となるという見通しもある。日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の分析によると、米国の関税政策が2027年に日本のGDPを0.2%上昇させる要因として作用すると予想した。カナダ、メキシコ、中国で米国の輸出が低迷するのに比べ、日本の自動車メーカーにチャンスが開かれ輸出が増えるということだ。

 日本政府はひとまず状況を見守るという原則的な立場を示している。武藤容治経済産業相は先月31日の記者会見で「メキシコ、カナダ、中国は日系企業がサプライチェーン(供給網)を構築している地域でもあるので、(トランプ政権の)関税措置の具体的な内容および影響を十分に精査する」と明らかにした。

 経済産業省はジェトロと共同で米政府の関税引き上げ措置に関する企業からの相談専用窓口を設置し、現場対応にも取り組んでいる。日本経済新聞は、トランプ大統領の関税政策が今後日本経済に及ぼす影響については意見が分かれているとし、日本政府は情報収集や企業のサポートを通じて対応にあたると説明した。

東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1180381.html韓国語原文入力:2025-02-02 21:34
訳C.M

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