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イスラエル、イランに脅しをかけただけ…「防空網を潜り抜けるミサイルを使用」

登録:2024-04-22 06:08 修正:2024-04-22 07:01
19日、首都テヘランでイランの女性が反イスラエルの絵が描かれたバナーの前を通っている/ロイター・聯合ニュース

 イスラエルが19日に行ったイランの核施設近隣地域への攻撃について、イスラエルがその気になればイランの防空網を潜り抜けて被害を与えることができるという「警告」のメッセージを送ったという分析が出た。イスラエルの攻撃に対してイランが即時対応を見送ったことで、全面戦争勃発の可能性は低くなる様子だ。

 ニューヨーク・タイムズ紙は20日付で、複数の西側・イラン当局者が出した分析をもとに、イスラエルの今回の攻撃は「軍事的優位」を示すための計算された行為だと報じた。同紙は、イスラエルがイラン中部イスファハン州の第8陸軍航空隊基地にあるS300地対空ミサイルシステムを攻撃した事実を、衛星写真と匿名のイラン当局者の話として報道し、このように分析した。

 イスファハン州ナタンズには、イランのウラン濃縮計画の中核施設がある。これは、イスラエルが1日にシリアのダマスクスにあるイラン領事館を爆撃し、革命防衛隊の指揮官3人など10人余りが死亡してから12日後に行われたイランの報復攻撃に対する再反撃だった。

 イスラエルがどんな兵器でイランのミサイルシステムを打撃したのかは明らかでないが、これを機にイスラエルがイランの防空網を迂回できる能力の搭載されたミサイルを少なくとも一発発射し、イラン軍が無人機(ドローン)をはじめミサイルや戦闘機などが自国領空に入ってくることを探知できなかったという点が確認されたわけだ。

 イスラエルは今回、イランの報復攻撃よりはるかに限られた「火力」のみを使ったという。国内の極右強硬派の圧力に直面したベンヤミン・ネタニヤフ首相が「明確で強力な」報復を公言したことで、一触即発の状況につながる懸念が高まったが、結果的にイスラエルの軍事能力を誇示し警告する程度で反撃のレベルを調整したものとみられる。

 西側協力国が中東内で緊張を高める行為を控えるように要請し、米国がイランへの報復作戦に参加しない方針を明らかにしたことも影響を及ぼしたものとみられる。7カ月近く続くイスラエルとパレスチナ武装勢力ハマスとの戦争に集中した方が良いという判断によるものだという分析もある。

 双方の衝突は小康状態に入ったようだ。イランのホセイン・アミール・アブドラヒアン外相は前日NBCニュースで、イスラエルが飛ばしたドローンについて「子どものおもちゃに近いもの」だと切り捨てたうえで、兵器が「イスラエルと関連性があることが立証されていない」と述べた。イスラエルが実際に攻撃をした事実はもちろん、これらの兵器の危険性も認めなかった。

 イラン国営メディアと当局者たちは、今回の事件をイスファハン上空で防空網がドローン3台を迎撃したことで発生した「若干の爆発」として取り上げた。特に今回のことがイスラエルよりは「潜入者」の攻撃だとしながら、報復の必要性を排除した。ロイター通信は匿名の西側外交当局者の話として、「イランがイスラエルの攻撃を認めた場合、防空網の脆弱性、ひいてはイスラエルの(軍事的)優位を認めることになるため、今後イランが報復に出る可能性は低い」と見通した。

 一方、「エルサレム・ポスト」は、ガザ戦争の責任を問われてきたネタニヤフ首相の支持率が、昨年10月の戦争発生以来、最も高い水準である37%までかなり回復したと報じた。同紙は「このような急上昇には(中東内の)緊張が続き、最近イランの攻撃が挫折した状況が影響した」と分析した。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/1137486.html韓国語原文入力:2024-04-21 22:59
訳H.J

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