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イスラエル、イランに対し「即時反撃」ができない理由

登録:2024-04-18 07:19 修正:2024-04-18 09:23
米国と友好国、イスラエル・イラン全面戦争に反対 
自国民の74%も「友好国の協力なしの反撃に反対」
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相/ロイター・聯合ニュース

 イスラエルがイランの報復攻撃を受けた後、即時に反撃せず4日間苦慮している。背景には、戦争拡大を望まない米国などの友好国の圧力と、周辺のアラブ諸国の助けを得ることなくイランを本格的に攻撃することは容易ではないという事情などが重なっている。

 16日、イスラエル国防軍(IDF)のダニエル・ハガリ報道官は記者団に向けて、イランに対し「我々は適切な時期に適切な場所で、我々が選択した方式で対応する」と強調した。13日にイランは、在シリア領事館を爆撃したイスラエルに対する報復攻撃として、300発を超えるミサイルとドローンを発射し、イスラエル本土を史上初めて攻撃した。その後イスラエル戦時内閣が招集されたが、明確な結論を下せずにいる。

 米国は、イスラエルの反撃によって今回の衝突がイランとイスラエルの全面戦争に飛び火することに対する否定的な見解を何度も明確に示してきた。匿名の米国官僚の話を引用したAP通信の報道によると、米国のジョー・バイデン大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に「米国はイランに対するイスラエルの報復攻撃に参加しない」とし、「慎重かつ戦略的に考えてほしい」と圧力をかけた。こうした状況のもとでイスラエルが激しい反撃に出た場合、最大の支援国である米国の支援を失うことになりうる。

 イスラエルは、イランのドローンとミサイルによる攻撃を99%防ぎ、大部分はイスラエル領内に入ってくる前に迎撃したと明らかにした。背景には、米軍と英軍がイランのドローン撃墜に参加し、周辺のアラブ諸国の助けもあったためだ。中東地域を管轄する米軍中央軍司令部は、イランに対応するため、ヨルダンやサウジアラビアなどと協力している。APは匿名のイスラエル空軍関係者の話を引用し、イスラエルがイランのミサイルを迎撃するためには、自国の戦闘機が東部地域を飛行する必要がある状況にあり、その過程で東側にあるヨルダンやサウジアラビアの助けが必要だったことを報じた。

 こうした状況のもとでイスラエルが独自にイランに反撃すれば、困難な状況に直面することになりうる。イスラエルのテルアビブにあるシンクタンク「国家安全保障研究所」(INSS)のヨエル・グザンスキー上級研究員は、「(イランに対して)激しい報復攻撃をしなければ(ガザ戦争で国際社会からの批判を受けている)現在の状況では利益を得られ、大きな信頼も得ることができる」として、「逆に報復攻撃をすれば、(むしろ)信頼を失うことになる」と指摘した。

 現実的に、周辺国の助けなしでは、自国から2000キロメートルほど離れたイランに対する本格的な反撃も難しい。イスラエルがイラン領土にミサイルを撃つためには、サウジアラビアから領空通過の承認を得る必要があるが、サウジアラビアが承認する可能性は低い。スンニ派の盟主であるサウジアラビアにとって、シーア派の盟主であるイランは邪魔な存在だが、それでもイスラエル側に立つように映ることは、大きな負担であるためだ。

 そのため、イスラエルがイランの支援を受けた武装集団を攻撃したり、イランの核施設などに対するサイバー攻撃を行うなど、従来の「影の戦争」方式で制限された反撃を行う可能性が取りざたされている。

 国内で友好国との協力のもとで対応する必要があるという世論が支配的な点も、イスラエル政府の苦慮の一因とみられる。エルサレム・ヘブライ大学が発表した16日の世論調査の結果によると、回答者の3分の2にあたる約74%が、友好国との協力なしの反撃には反対すると答えた。友好国との関係を損ねてでも反撃すべきだという意見は26%にすぎなかった。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/1137000.html韓国語原文入力:2024-04-17 16:01
訳M.S

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