イスラエル市民約10万人(主催側推定)が、6カ月近く続いているガザ戦争の終息と、ベンヤミン・ネタニヤフ政権のすみやかな退陣のための早期の総選挙を求める大規模な反政府デモを行った。ネタニヤフ首相は「戦争の勝利を控えた時期に選挙を行えば、国が麻痺する」として、デモ隊の要求を拒否した。
イスラエルメディア「タイムズ・オブ・イスラエル」は先月31日(現地時間)、エルサレムのクネセト(イスラエル議会)の外の通りを埋めつくした群衆が、ネタニヤフ政権の退陣などを要求する大規模集会を開いたと報じた。デモ隊側は、この日の参加者は10万人に達したと主張し、4日間デモを続けると表明した。
市民たちはイスラエル国旗を持ち「政府は今すぐ人質協議に入れ」「ネタニヤフを交替して人質を救え」というシュプレヒコールを叫んだ。一部の市民はたいまつを掲げた。デモに参加した市民のリー・ロフマン・アジフさんはAP通信に「抑留状態にある他の人質がさらに死亡したら、政府を許さないだろう」と述べた。別の市民は「(戦争前には)あれほど成功していたイスラエルが、1人(ネタニヤフ首相)と部下たちによって、このような道を歩んでいることが信じられない」と怒った。夜が深まるにつれ、警察とデモ隊が衝突する場面もあった。イスラエル警察は「デモはおおむね平和だったが、数人のデモ参加者が焚き火をしたり高速道路の出入り口をふさいで警察と対立し、公共の秩序に反した」と明らかにした。この日警察は、放水砲を使って一部のデモ隊を高速道路で解散させ、16人を逮捕したと明らかにした。
ニューヨーク・タイムズは「戦争が長期化し、ネタニヤフ政権に対する怒りが強まり、デモの規模もますます大きくなっている」と説明した。イスラエル市民は、昨年10月7日にパレスチナ武装勢力「ハマス」がイスラエルを奇襲攻撃し、イスラエルで2000人以上が死亡する事態が起きると、ネタニヤフ首相に批判的な人たちも戦争遂行自体は挙国的に支持した。
しかし、戦争が6カ月近く続いているにもかかわらず、ネタニヤフ政権が掲げた「ハマス壊滅」という当初の目標は達成されずにいる。しかも、100人以上の人質が今もガザ区に抑留された状態が続いているため、市民が大挙して街頭にあふれ出たのだ。
市民は戦闘兵の徴兵の「公正性」の問題についても怒りをあらわにしている。ガザ戦争勃発後、イスラエル政府は36万人の予備軍招集を承認した。イスラエルの全人口約931万人の4%が徴兵されている状況にもかかわらず、超正統派ユダヤ教徒「ハレディ」は1948年のイスラエル建国以来、常にそうであったように、今回も徴兵対象から除外された。ネタニヤフ首相の長男であるヤイル氏(32)は予備役として入隊対象であるにもかかわらず、米国フロリダ州のマイアミに滞在し続けている点も怒りを強めている。ガザ戦争勃発後、数多くのイスラエルの青年たちが自発的に帰国して入隊したが、ヤイル氏は帰国便の飛行機に乗らずにいる。
ネタニヤフ首相は「つかんだ勝利をあきらめることはできない」として、デモ隊の要求を拒否している。この日ネタニヤフ首相は脱腸治療の手術が予定されていたが、病院に行く前の記者会見で「今、総選挙の要求を受け入れれば、短くても6~8カ月近くは国政が麻痺するだろう」としたうえで、「目標達成前に戦争が終わることを一番最初に称賛する側はハマスになるだろう」と主張した。ネタニヤフ首相は人質釈放についても「あらゆる対策をしており、今後もそうする」と主張した。