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「ガザ戦争」にブレーキかける米国、イスラエルと不協和音

登録:2023-12-15 05:58 修正:2023-12-15 07:00
13日、ハマスにとらわれている人質の米国人家族が13日、ジョー・バイデン大統領と面談した後、ホワイトハウス前で記者会見をしている/AFP・聯合ニュース

 ガザ地区での戦争が2カ月を超え、パレスチナの民間人の被害が急増し、イスラエルの同盟国で最大の支援国である米国がブレーキをかけ始めた。イスラエルがこれに対して露骨に不満を表明し、不協和音が強まっている。

 米国のジョー・バイデン大統領は13日、ホワイトハウスで開戦直後の10月17日以来初めて、家族がハマスに人質としてとらわれている人たちと対面した。バイデン大統領は2時間にわたる面談を終えた後、SNSのX(旧ツイッター)に「愛する人をハマスに奪われた米国の人質家族と会い、話を聞いた」とし、「人質が解放されるよう可能な限りすべてのことをすると伝え、安心させた」と明らかにした。バイデン大統領と面会した家族も、面談後に記者会見を開き、釈放交渉に大統領のすべての権限を活用してほしいと要求したと述べた。

 バイデン大統領は前日の12日には、ワシントンで開かれた選挙資金募集イベントで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に変化を要求する強い批判を表明した。バイデン大統領は、歴代最悪の極右政権と呼ばれるネタニヤフ内閣のなかでも最極右の人物に選ばれるイタマル・ベングビール国家治安相などに具体的に言及しつつ、「彼らはハマスを懲らしめることを願うだけで、(パレスチナ問題を解決するための解決策である) 二国家解決案を望まず、パレスチナに関するいかなることもしようとしない」と指摘した。さらにネタニヤフ首相は「変わらなければならないし、難しい決定を下さなければならない」としたうえで、「現在行われてる無差別爆撃によって、欧州などからの支持が失われている」と懸念を示した。

 バイデン大統領がネタニヤフ首相に変化を求めた直後の翌日に人質家族らと会うと、米国メディアは、パレスチナの民間人の被害をものともせず攻撃するイスラエルに高度な圧力を加えたものだと読み取った。CNNは「バイデン大統領がネタニヤフ政権に『国際的な支持が弱まっている』と警告し、両国間の亀裂が大衆の目にも見えるようになった」とし、戦争に対して「堅固な両同盟の間で意見の相違が拡大している」と報じた。

13日、米国ワシントンのホワイトハウス前で活動家らがイスラエルとハマスの戦争の休戦を要求するデモを行っている/AFP・聯合ニュース

 米国はさらに一歩踏み込み、民間人攻撃用に使われる恐れのある小銃の供給を遅延させるなど、イスラエルに対する圧力の度合いを強めている。米国メディア「アクシオス」は2人の米国当局者の話を引用し、この日バイデン政権がイスラエルに対するM16小銃2万丁の販売手続きを遅延させていると報じた。記事によると、イスラエルは戦争勃発の第1週、レバノン、シリア、ガザ地区に隣接する地域に住むイスラエル住民たちが初動対応を取れるよう、小銃を支援することを要求した。米国は、これらの銃器がパレスチナの民間人を攻撃することに使われる可能性があるとして、販売を遅延させている。

 また、非人道的な軍事作戦にもブレーキをかけている。イスラエルが「ハマス壊滅」のためにガザ地区のトンネルに海水を注入し始めたという報道が流れると、国務省のマシュー・ミラー報道官は13日の会見で、「いかなる戦術であっても国際人道法に合わせるべきであり、民間人保護を最大化する方法で計画しなければならない」と強調した。

 イスラエルはいまだに妥協しようとする姿勢を示していない。ネタニヤフ首相は12日に声明を出し、「ハマス壊滅後(の対策)について、(米国と)意見が違っているのは事実だが、いずれ合意に至ることを望む」とし、「『オスロの失敗』(米国の仲裁でイスラエルとパレスチナが二国家解決案で同意した1993年の合意)を繰り返さないという私の立場を明確にしたい」と述べた。さらに、「ガザ地区にはハマスはもちろんファタハ(パレスチナ自治政府)も容認しない」と断言した。

 バイデン大統領は、両国間の激しい意見の相違のため、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)をイスラエルに派遣した。14日にネタニヤフ首相らに会い、民間人の被害を減らす方法と戦後対策などについて議論した。

キム・ミヒャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1120446.html韓国語原文入力:2023-12-15 02:33
訳M.S

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