今年9月、日本に住むある80代の女性は「現在、日本の海産物が海外で問題になって売れない、助けてほしい」という勧誘の電話を受けた。値段は海産物としては高い2万~3万円台だった。業者は名前も明らかにしなかった。ひとまず曖昧に電話を切った女性は、業者が一方的に海産物を送りつけるのではないかと心配になり、子どもに一部始終を説明した。その後、子どもが母親の携帯電話にある着信履歴を見て電話をかけたが、電話はつながらなかった。
福島第一原発汚染水の海洋放出が始まってから、海産物を押し売りする電話と関連した被害が日本で相次いでいる。
日本の消費者紛争調停機関である国民生活センターは8日、「最近、一部の国および地域で日本の海産物に対する輸入規制が強化されたことで、(海外で日本の海産物が売れなくて)困っており支援してほしいと、海産物の購入を電話で勧められるケースが多くなった」とし、「カニなど海産物の購入の機会が増える年末にかけて、このようなトラブルが増加する可能性があるので、特に注意してほしい」と呼びかけた。
日本の福島原発汚染水の海洋放出以降、中国など一部の国が日本の海産物に対する輸入を停止し、販路を失い困っている日本の水産業界の状況を悪用し、原産地を偽って販売したり、高い値段に比べて粗悪な品質の商品を送ってから連絡が途絶えるなど、悪質な電話勧誘販売が横行している。
国民生活センターは今年に入ってから「処理水」の放出と関連した内容で、電話で購入を勧められたという相談が寄せられ始めたと説明した。国民生活センターは「『以前に購入したことがある』など断りにくい状況を作り、『現在、海産物が売れない状況にある。助けてほしい』として支援を求める場合がある」とし、「消費者の善意や同情を利用した手口」だと警告した。
中国の日本産海産物禁輸措置で直撃弾を受けたホタテ貝の主要産地である北海道を助けてほしいという手口も登場した。
8月、ある50代の男性は「北海道を支援するため、海産物を購入してほしい」という販売勧誘の電話を受け、2万円分の北海道産海産物を購入した。しかし、実際に届いたのは2万円のものとしては粗悪品だった。返品を要請するために業者に何度も連絡したが、電話がつながらなかった。
これを受け、北海道警察本部は電話勧誘販売業者に対する取り締まりを強化している。これに先立ち北海道警察本部は特定商取引法違反の疑いで札幌のある会社の役員などを逮捕した。彼らは北海道の海産業者を名乗り電話をかけ、海外の海産物を北海道のものとして偽り販売した疑いが持たれている。
これに先立ち、中国政府は、日本が福島原発汚染水の海洋放出を始めた8月24日から、日本産海産物の輸入を全面停止した。中国の日本産海産物に対する禁輸措置で、日本の海産業界は大きな打撃を受けた。日本の水産白書によると、中国は昨年、日本の海産物の輸出総額3873億円のうち22.5%という最も大きな割合を占めていたからだ。特にホタテの輸出額は911億円で、日本の海産物輸出額のうち1位だった。