ニュースが教えてくれないニュースや、見れば見るほど気になるニュースを、5つの質問にまとめました。The 5が質問して記者が答えます。
パレスチナのガザ地区で残酷な戦争が繰り広げられ、1カ月以上が経過しました。始まりは先月7日のハマスの戦闘部隊による奇襲攻撃でした。ハマスは、イスラエルが設置したガザ地区の壁を越え、イスラエル市民1400人あまりを殺害した後、人質240人を連れて戻っていきました。その後、イスラエルは都市を薄く切るように破壊する「スライス作戦」を展開しています。その結果、すでに1万人を超えるガザ地区の住民が亡くなりました。そのうち70%近くは子どもと女性です。この悲劇の本当の原因は何なのでしょうか。民間人の被害はなぜこれほど大きいのでしょうか。国際部のチョン・ウィギル先任記者に質問しました。
[The 1]悲劇が広がった本当の原因は何ですか。
チョン・ウィギル記者:先月7日のハマスの攻撃とそれに対する報復でしょう。まず、ハマスの奇襲は明らかにテロ行為です。しかし、それ以前に、イスラエルが2005年からガザ地区を封鎖して「芝刈り」戦略でこの地域を管理してきたということを忘れてはいけません。細く長く育った芝を刈り取るように、ハマスの勢力を定期的に攻撃してきました。これまでガザ地区は、水から電気や生活必需品にいたるまで、イスラエルの統制を受ける事実上の監獄のような場所でした。
しかも最近になり、アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンなどがイスラエルと国交を結び始めました。決定的なことは、8月初めにイスラムの宗主国であるサウジアラビアがイスラエルと国交を結ぼうとしたことです。米国・サウジ・イスラエルが手を握れば、ハマスの立場としては孤立は避けられないと判断したようです。8月末にはイスラエルが、パレスチナの住民にとってのイスラムの聖地であるアルアクサ・モスクの統制を強化し、ハマスの怒りは臨界点を越えました。そのため、今回のハマスの作戦名も「アルアクサの洪水」作戦でした。
[The 2]戦争が1カ月を超えましたが、民間人の被害がなぜこれほど大きいのでしょうか。
チョン記者:ガザ地区を一度想像してみてください。横は10キロメートル、縦は40キロメートルで、ソウルの3分の1程度の広さです。そのガザ地区の3分の1にも満たない面積のガザ市に多くの人が集まって住んでいます。人口密度が世界で最も高いところです。イスラエルが高さ6メートルの壁で閉じ込めているので、行く所もありません。そこに集中的に爆弾を落とすのです。
ガザ地区の犠牲者の1万人のうち子どもは4237人です。女性も2500人以上が亡くなりました。いくらイスラエルが正当性を与えても、戦争には比例性(期待される軍事的利益より民間人の犠牲が過剰な攻撃は禁止)の原則というものがあります。今では、誰が始めたのかは重要ではなくなってしまいました。建物や家にテロリストがいるといって、子どもたちがいても爆撃しています。これは戦争でなく虐殺であり狩猟です。民間人の犠牲を「付随的被害」と呼んでいる状況です。
[The 3]イスラエルはなぜ、ここまでするのでしょうか。
チョン記者:まずは、ハマスの攻撃に対する報復です。ネタニヤフ政権が極右であるという点も作用しました。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、今回の事態が起きる前から政治的な危機に直面していたため、国内の雰囲気に押されてやむをえず過剰な報復を行っているという側面もあります。
地上戦は初めてではありません。イスラエルは2005年から4回ガザ地区に地上軍を投入しました。その後も1カ月に1回の空襲がありました。18年間でガザ地区で亡くなった人は3550人です。それでも、その時は管理が目的でした。ターゲットを定めて攻撃してから撤収するやり方でした。今回は軍事作戦の性格が最初から違います。壊滅が目標です。
[The 4]国際社会はなぜ、イスラエルを止めることができないのでしょうか。
チョン記者:国際社会の集団知性が限界に達したとみなさなければならないようです。ロシア・ウクライナ戦争と比較してみても、民間人虐殺に対する態度が明確に違います。まず、米国が身動きを取れなくなっています。米国の政治・経済をユダヤ系が掌握しているのは周知の事実です。実際に大統領選挙では、ユダヤ人投票者の支持票が重要です。わが国も同じです。大韓民国は先月29日、国連総会の「休戦要求決議案」を棄権しました。韓国政府は休戦でなく、米国が主張する「人道的交戦中断」を支持しています。
[The 5]私たちは無気力に眺めていなければならないのでしょうか。
チョン記者:だからこそ悲劇なのです。私たちもしっかりしなければ。故・金大中(キム・デジュン)大統領もこう言っていました。「できることがなければ、壁に向かって声でも上げよう」と。主な西側メディアの情報や、韓国の教科書に出てくるようなことだけでなく、他の話・他の視線もあることを忘れてはなりません。そして、国際社会で沈黙する韓国政府に対しても、明確に立場を決めるよう要求しなければなりません。