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福島原発汚染水、早ければ24日に放出…岸田首相「22日午前に決定」

登録:2023-08-22 07:38 修正:2023-08-22 08:06
福島の復興のための廃炉作業を名目に 
最大の難関「漁業者の反対」解決できないまま決定
21日午後、京畿道華城市の共生塩田で塩職人が塩を運んでいる。日本政府は、今月末に福島原発汚染水の放出を押し切ると予測される。共同通信は日本の岸田文雄首相がこの日午後、漁業者団体のトップと面談すると報じた/聯合ニュース

 日本政府は、早ければ24日から東京電力福島第一原発の汚染水の海洋放出を開始するものとみられる。「福島の復興」を名目に、自国の漁業者や周辺国の反対を押し切り、汚染水放出という「レッドライン」をついに越えることになる。

 日本の岸田文雄首相は21日夕方、東京の首相官邸で記者団の取材に「明日(22日)朝、関係閣僚会議を開催し、政府全体で安全性の確保と風評対策の取組み状況及び今後の取組みについて確認し、東京電力によるALPS処理水の放出の具体的な日程を決定する」と明らかにした。朝日新聞などの日本メディアは、政府関係者の話を引用し、「政府は24日にも放出を始める方向で最終調整に入った」と明らかにした。最終的に、22日午前の会議を通じて早ければ24日に放出を開始する方針を決めるものとみられる。

 岸田首相はこうした方針を明らかにして、福島の復興のためには原発を廃炉する必要があり、そのためには、原子炉周辺に十分なスペースがなければならないという理由を述べた。岸田首相は「福島第一事故炉のプールには、今なお、1000体の使用済み核燃料がある。これらを事故炉の建屋から安全なところに移さなければならない。そのためのスペースをどこに造るのか。また、事故炉で溶けてしまった燃料棒の残骸、いわゆるデブリを取り出し、保管するためのスペースをどこに造るのか」と述べた。汚染水を貯めた1000個を超えるタンクを除去して場所を確保することが「廃炉のために不可欠」な作業だとする認識を明らかにしたのだ。

日本の福島第一原発の放射性物質による汚染水の海洋放出が目前に近づく21日、福島県いわき市の小名浜港に漁船が停泊している/AFP・聯合ニュース

 岸田首相は同日午後、全国漁業協同組合連合会の坂本雅信会長と面会し、「国として海洋放出を行う以上、廃炉およびALPS処理水の放出を安全に完遂すること、また、漁業者の皆様が安心して生業を継続できる必要な対策を取り続けることを、たとえ今後数十年の長期にわたろうとも、全責任を持って対応することを約束する」と述べた。汚染水放出によって水産物が売れなくなるなどのいわゆる風評被害についても、これまでの予算に追加で資金を確保して対処すると明らかにした。日本政府は、風評対策の基金として300億円、さらに漁業を継続できるようにするための支援策として500億円規模の基金を用意したとし、漁業者を説得してきた。

 だが、坂本会長は「漁業者と国民の理解を得られないALPS処理水の海洋放出に反対であるということは、いささかも変わりはない」と述べた。また、「科学的な安全性への理解は私たち漁業者も深まってきた。しかし、科学的な安全と社会的な安心は異なる」としたうえで、「科学的に安全だからといって、風評被害がなくなるわけではない」と述べた。岸田首相は漁業者から「理解は進んでいる」という声を聞いたとしたうえで、「重く受け止め、引き続き、漁業者との意思疎通を継続的に行っていく」と述べた。

 汚染水放出をめぐっては、日本政府の足かせとなった最大の難関は「漁業者の反対」だった。日本政府と東京電力は2015年、福島県漁業協同組合と汚染水処理問題について「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束したことがある。漁業者はこれを根拠に、日本政府を追及してきた。日本政府はこの約束に応じ、漁業者を最大限説得する姿勢を示したが、最終的には完全な理解を得られないまま放出に乗りだすことになった。

 国際的にみれば、汚染水放出に積極的に反対している国は中国とロシア程度だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、「国際原子力機関(IAEA)の点検を信頼する」と明言するなど、日本の汚染水放出を事実上容認する姿勢を示している。朝日新聞のこの日の世論調査結果によると、日本人の75%は水産物への風評被害を防ぐ政府の努力が「十分ではない」と答えたが、放出に対しては53%が賛成した。

東京/キム・ソヨン特派員、チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1105207.html韓国語原文入力:2023-08-21 22:10
訳M.S

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