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岸田首相、「最後の説得」に失敗…日本の漁業者「汚染水放出、反対は変わらない」

登録:2023-08-22 06:39 修正:2023-08-22 08:21
8年前の約束を破り放出を強行する見通し
岸田文雄首相が21日、東京の首相室で全国漁業協同組合連合会の坂本雅信会長と面会し、汚染水の海洋放出について説明している。岸田首相は漁業者らが安心して生業を続けられるよう必要な対策を取るとしたが、坂本会長は汚染水放出への反対意思を改めて示した/AFP・聯合ニュース

 福島第一原発汚染水の海洋放出を控えた岸田文雄首相が、最後の説得のため漁業者団体の会長と面会した。漁業者団体は「依然として反対であるという立場は堅持する」と述べたが、放出を防ぐことはできないものとみられる。

 岸田首相は21日、東京の首相官邸で全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長と面会し、「漁業関係者らが『これまでのように漁業を続けたい』という気持ちを重く受け止めている」とし、「今後数十年にわたろうとも、漁業者が安心してなりわいを継続できるように必要な対策を取り続けることを、全責任を持って約束する」と述べた。

 汚染水の海洋放出により海産物が売れないなど、いわゆる「風評被害」についても、従来の予算に加え別途資金を確保し対処すると明らかにした。日本政府は「風評被害」に備えた基金として300億円、そして漁業を継続できるようにするための支援策として500億円規模の基金を用意したとし、漁業者らを説得している。

日本福島第一原発の放射性汚染水の海洋放出が目前に迫った中、21日、福島県いわき市小名浜港に漁船が停泊している/AFP・聯合ニュース

 しかし、坂本会長は「漁業人と国民の理解を得られなかった処理水(汚染水)の海洋放出に反対であるということはいささかも変わりはない」と述べた。また「一方で科学的な安全性への理解というものは私ども漁業者も深まってきた。しかし、科学的な安全性と社会的安心は違う」とし、「科学的に安全だからといって風評被害がなくなるわけではない」と語った。岸田首相に先立ち西村康稔経済産業相と会った席でも「(汚染水の放出に)依然として反対であるという立場を堅持する」と述べた。

 汚染水の放出と関連し、日本政府を妨げる最大の難関は漁業者らの反対だ。日本政府と東京電力は2015年、福島県漁業協同組合と汚染水の処理問題に関して「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束した。漁業者らはこれを根拠に日本政府を追及してきた。日本政府も同様に、この約束のため漁業者らを最大限説得する姿を見せる必要がある。

 漁業者らの反対にもかかわらず、日本のメディアは政府が今月中に汚染水の放出を決断する可能性が高いと予想した。岸田内閣は22日に閣議を開き、汚染水の放出時期を決める見通しだ。日本政府は福島原発汚染水(約133万トン)の放射性物質濃度を法的基準値以下に下げた後、30~40年かけて海に放出する予定だ。

チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1105167.html韓国語原文入力:2023-08-22 02:42
訳H.J

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