大西洋で行方不明になっているタイタニック観光用潜水艇「タイタン」の捜索が4日目に入った中、ある乗客の妻は111年前のタイタニック号の犠牲者の子孫だと報じられた。
「ニューヨーク・タイムズ」は21日(現地時間)、タイタンを運用するオーシャンゲート・エクスペディションズの設立者であり最高経営責任者(CEO)のストックトン・ラッシュさんの配偶者のウェンディ・ラッシュさんは、タイタニック号の犠牲者の子孫だと伝えた。19日午前に潜水を開始し、約1時間45分後に連絡が途絶えたタイタンにはストックトンさん、英国の大富豪の事業家で探検家のハミッシュ・ハーディングさん、パキスタンの大富豪シャザダ・ダウッドさんとその息子、フランス人ダイバーが乗っていた。
ニューヨーク・タイムズは記録をもとに、ウェンディさんは米ニューヨークのメイシーズデパートの共同所有主だったイシドル・シュトラウスとアイーダ・シュトラウスのひまごだと伝えた。シュトラウス夫妻は、1912年に沈没したタイタニック号の一等客室に乗っていたと記録されている。
シュトラウス夫妻は、死を前にしても変わらない愛を示したエピソードで広く知られている。沈没時、米国の元下院議員でメイシーズの共同所有者だったイシドルは救命艇への乗船を提案されたものの、女性と子どもが全員退避するまで乗らないとして断ったと「デイリー・メール」は伝えた。アイーダも、40年以上ともに暮らしたイシドルを置いていくわけにはいかないと言って共に残ることを決めたという。タイタニック号が沈没する際、甲板で2人が腕を組んで立っている姿が目撃されたと、ニューヨーク・タイムズは伝えた。
その後、二人の物語はジェームズ・キャメロン監督の映画『タイタニック』にも登場した。映画の中で、水が入ってきた船室のベッドで横になって両手をつないでいた老夫婦がシュトラウス夫妻だ。イシドルの遺体はタイタニック号が沈没して約2週間後に海で発見されたが、アイーダの遺体は見つからなかったという。
ニューヨーク・タイムズは、ウェンディさんのSNS「リンクトイン(LinkedIn)」を引用して、彼女はオーシャンゲート・エクスペディションズの取締役を務めており、ここ2年間で3回にわたってタイタニック号の残骸を探査したと伝えた。
行方不明になったタイタンには酸素があと1日分も残っていない中、タイタニック号がどれほど深い場所に沈んでいるかを示す過去の映像も再び注目されている。タイタニック号は大西洋の水深約4000メートルの地点に沈んでいるという。スペインのアニメーション会社「メタボールスタジオ」が制作した3D映像は、米国の自由の女神像(高さ93メートル)、フランスのエッフェル塔(324メートル)、アラブ首長国連邦(UAE)のブルジュ・ハリファ(829メートル)などの世界的なランドマークを示し、それよりもはるかに深い深海(海底3700メートル以下)にタイタニック号があることを描写している。