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米中「半導体戦争」本格化…韓国、「二者択一」迫られるか

登録:2023-05-23 10:48 修正:2023-05-23 11:58
中国「安全保障の影響」理由に米マイクロンを制裁 
中国に工場を置くサムスン・SK「困惑」
米国バージニア州マナサスにあるマイクロン社の車向け半導体工場の様子。中国の制裁を受け、同社の広報担当者は「結果を分析し、次の手続きを検討している。中国当局と協議を続ける」という立場を示した=マナサス/AP・聯合ニュース

 中国が21日、米国の半導体企業マイクロンを制裁すると発表し、半導体など先端産業をめぐる米中戦略競争が本格的な「対決局面」に入った。中国は主要7カ国(G7)首脳が集まり自国に対する新しいアプローチを公開したG7サミットの最終日、米国のメモリー半導体企業であるマイクロンに対する制裁案を公開し、この措置が米国に向けた報復であることを明確にした。中国はこの措置を発表した翌日、メモリー半導体強国である韓国の動きをけん制し、韓国は凄絶な戦略競争を繰り広げる米中間で厳しい決定に追い込まれることになった。

 中国国家インターネット情報弁公室(CAC)傘下のサイバーセキュリティー審査弁公室は、この日午後8時頃、ホームページに載せた公示文を通じて「サイバーセキュリティ法を根拠とした審査で深刻なセキュリティ問題が発見されるなどにより、マイクロンが安保審査に通らなかった」とし「重要情報インフラ運営者に対し、同社の製品の購入を中止させた」と明らかにした。サイバーセキュリティー審査弁公室は3月31日に審査を開始。G7サミットの最終日に合わせて購入中止命令を下したのだ。中国が米国の半導体企業に対して、2017年に施行されたサイバーセキュリティ法に則る安全審査を行って制裁を加えたのは今回が初めて。

 この措置を発表する中で中国が提示した論理は「我が国の重要な情報インフラ供給網に重大な安全上の危険」をもたらし、結果的に中国の「国家安保に影響を及ぼしかねない」というもの。これに先立ち、米商務省は2019年5月、第5世代通信(5G)の強者だった中国企業の華為技術(ファーウェイ)が自国の国家安保を脅かす恐れがあるとし、同社に対する輸出を原則的に禁止する「エンティティリスト」(ブラックリスト)に同社を載せた。また、2022年10月には米国の国家安保に害を及ぼすとして、日本やオランダなどの同盟国まで糾合し、中国に対する先端半導体と半導体装備の輸出を禁止した。米国が中国の先端産業に打撃を与えるために提示したのと同じ論理を挙げ、中国が米国に報復措置を取ったのだ。

 さらにこの措置は、G7が20日の共同宣言を通じて中国に対する新しいアプローチとして提示した「デリスキング」(危険緩和)を拒否したものと解釈することもできる。ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安保担当)は先月27日、米国は「デカップリング(関係断絶)ではなくデリスキング」を追求しているとし、「我々の輸出規制は、軍事的なバランスを傾けさせうる技術という非常に狭い範囲に集中している」と述べた。さらに、G7も共同宣言で「我々のアプローチは中国を害したり、中国の経済的進歩や発展を挫折させようとするものではない」として「主要なサプライチェーンで過度な依存を減らす」ためだけのものであると表明した。中国企業を規制する論理として国家安保を提示する米国に対して、中国も同じ論理で対抗措置を取ったということだ。

 中国が米国を相手に本格的な報復に乗り出したことで、韓国の苦悩も深まることになった。米国の半導体企業のうち中国への依存割合が高い企業は、クアルコム(64%)、インテル(27%)、AMD(22%)などだが、中国はメモリー半導体企業であるマイクロン(10.8%・33.1億ドル)を標的にした。代替不可能な非メモリー半導体を作る企業を避け、サムスンとSKハイニックスという強力な「代替購入先」があるマイクロンを犠牲にしたのだ。これと関連して、英「フィナンシャル・タイムズ」は先月23日、中国がマイクロンの半導体販売を禁止した場合、米国政府はサムスン電子とSKハイニックスがその分を補って中国で半導体を販売しないようにしてほしいと韓国に要請したと報じた。

中国の習近平国家主席が19日、陝西省西安で開かれた中国・中央アジア首脳会議で団体写真を撮りながら手を振っている=西安/ロイター・聯合ニュース

 中国は米国のこのような動きを強く警戒している。中国外務省の毛寧報道官は22日、定例ブリーフィングで「米国のこのような行為は、自身の覇権的利益を保護するために他国に対中輸出を制限するよう脅迫するもの」、「市場経済の原則と国際経済・貿易規則に重く違反し、グローバル産業・サプライチェーンの安定を破壊するもの」だと述べた。さらに「このような行為に決然と反対し、関連国家の政府と企業が中国と共に多国間貿易システム、グローバル産業・サプライチェーンの安定を守るよう希望する」と述べた。関連国家と企業とは、韓国とサムスン電子などを指すものと解釈される。韓国は、米国の要求に従えば中国の報復を覚悟しなければならず、拒否すれば同盟関係が損なわれるという、深刻なジレンマに陥ることになった。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員、ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/1092833.html韓国語原文入力:2023-05-23 08:50
訳C.M

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