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米国、中国がマイクロン制裁の場合、韓国は不足分を補わないよう要求

登録:2023-04-25 06:46 修正:2023-04-25 13:35
外信「中国がマイクロンを制裁する場合、韓国は不足分を補わないよう要求」
/ロイター・聯合ニュース

 中国政府がメモリーチップ半導体企業である米国のマイクロンを制裁した場合、サムスン電子やSKハイニックスが不足分を補わないよう、米国が韓国政府に要求したと報じられた。韓米首脳会談を目前に控え、米国が中国と繰り広げている戦略競争の真っただ中に韓国を“狙撃兵”として投入するということであり、韓国政府と企業に大きな負担になるものとみられる。

 英国紙「フィナンシャル・タイムズ」は23日、ホワイトハウスと韓国大統領室の議論を知る4人の消息筋の話を引用し、米国が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の訪米を控え、韓国政府にそのように要求したと報じた。中国の国家インターネット情報弁公室(CAC)は先月31日、「重要通信基盤施設の安全を確保するため」マイクロン製品に対するサイバーセキュリティー審査に着手すると発表した。マイクロン(昨年の市場シェア19.2%。英国オムディア調査)は、サムスン電子(38.7%)、SKハイニクス(20.4%)とともに、世界のDRAMメモリー半導体市場を3分する企業だ。米商務省が昨年10月に中国への先端半導体と半導体装置の輸出を禁止したことに対する正面からの対抗カードと読み取れる。

 中国が実際にマイクロン製品の購入を中断するとなれば、米国の圧力に対抗して米国の大企業を相手に初めて報復に乗りだすということだ。その場合、昨年の売上308億ドル(約4兆1000億円)のうち中国本土と香港での販売が25%を占めるマイクロンは、大きな打撃を受けることになる。米国の要求は、実際に中国がマイクロン製品の購入を中断した場合には「韓国企業が中国側の不足分を補わないよう督促してほしい」ということだ。ある消息筋は「中国がマイクロンを米国の政策に影響を及ぼすテコとして利用できなくさせること」だと、この要求の意味を説明した。

 フィナンシャル・タイムズは、ホワイトハウスの要求は、尹大統領が国賓訪問のため24日にワシントンに到着する前の「敏感な時点」に伝えられたと報じた。さらに、米国が中国に対する対応に協調する同盟国の企業に、役割を果たすよう初めて要求した事例であり、尹大統領は複雑な立場に置かれたと説明した。尹大統領の立場としては、今回の訪問を通じて、米国により明示的な安全保障と経済的な優待措置を引きだそうとしているが、場合によっては、逆に不利益を被ることになる危機に陥った。

 米国はこれまで、半導体などの先端産業の「グローバル・サプライチェーン」から中国を排除しようと努力してきた。これを象徴する動きが、昨年10月に「国家安全保障の脅威となる」として先端半導体と製造装置の中国への輸出を禁止した措置だった。また、12月には中国最大のメモリー半導体企業である長江存儲科技(YMTC)を輸出統制リストに掲載し、米国政府の許可なしには技術を提供できなくさせた。3月末には、米国に投資する半導体企業に補助金を支給する「CHIPS法」(半導体支援法、昨年8月制定)の補助金の「ガードレール条項」によって、米国に半導体生産施設を造る企業が補助金を受ける場合、中国において10年間に5%以上生産を拡大できないようにした。これらすべての措置は、中国に大規模な生産施設を持つサムスン電子とSKハイニクスの経営にかなりの制約を加えることになるものだった。

 ここからさらにもう一歩踏みだし、米国企業が何の問題もなく販売してきた半導体を韓国企業には販売させないようにすることは、営業の自由と「経済主権」を侵害するものとみなせる。サムスン電子とSKハイニクスの中国における生産施設は、米国による半導体製造装置の販売禁止対象としては、今年10月までひとまず例外として認められている状況だ。米国がこうしたテコを握っている状態において、マイクロンが制裁を受けたときに中国への販売を増やすなという要求は、韓国企業に強い圧力になりうる。

 中国は強く反発している。毛寧外交部報道官は24日、「米国は自身の覇権と私益を守ろうと強権的にデカップリング(脱同調化)とネットワークの断絶を推進し、同盟国に米国の中国に対する抑制に協力しろという脅迫まで辞さない」としたうえで、「こうした利己的な行動は信用を得られないだろう。中国は断固反対する」と述べた。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1089105.html韓国語原文入力:2023-04-25 01:09
訳M.S

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