近いうちに韓米日3カ国が北朝鮮のミサイルなどを探知・追尾するレーダー情報をリアルタイムで共有する見通しだ。早ければ来月初めにシンガポールで開かれる韓米日防衛相会談などで大筋の合意案が出れば、3カ国の軍事協力が一層緊密になるものとみられる。
韓国国防部のチョン・ハギュ報道官は9日の定例ブリーフィングで、韓米日のミサイル情報共有と関連した協議がどこまで進んだかという記者団の質問に「4月14日の韓米日防衛実務者協議(DTT)で、北朝鮮が発射したミサイル警報情報をリアルタイムで共有するため、韓米日情報共有に関する防衛当局間取り決め(TISA)を含む既存の体系を最大限活用する案について協議を行った」とし、「具体的な履行案については協議が行われている」と答えた。松野博一官房長官も午前の定例ブリーフィングで同様の質問を受け「詳細な内容は現在調整が行われている」とし、「引き続き日米韓3カ国で緊密に連帯しつつ、防衛当局間で精力的に調整が進められていく」と述べた。まだ具体的な施行案は確定していないが、迅速に結論を出すという意味とみられる。
これに先立ち、読売新聞は同日朝刊1面トップ記事として、「6月初旬にシンガポールで開催予定の日米間防衛相会談で(レーダー情報のリアルタイム共有について)大筋合意する段取りで早期の運用開始を目指す」とし、「北朝鮮に近く、より速く探知できる韓国軍のレーダー情報を瞬時に得られれば、迎撃やJアラートの精度向上が期待できる」と報じた。同紙は、今月19~21日の主要7カ国首脳会談(G7サミット)を機に開かれる韓米日首脳会談で「調整状況を最終確認」し、来月2~4日にシンガポールで開かれるアジア安保会議(シャングリラ・ダイアローグ)を機に開かれる韓米日および韓日防衛相会談を通じて結論を出すと報道した。
韓日政府はこの日、具体的な実行案については言及を控えたが、北朝鮮のミサイルなどに対する探知・追尾情報はハワイに位置する米インド太平洋司令部を通じて行われる見通しだ。同盟である「韓国軍と在韓米軍」と「自衛隊と在日米軍」の間にはすでにミサイル情報をリアルタイムで見られるシステムが作られている。同紙は「同盟関係にない日韓のシステムを直接つなぐのは困難なため、双方の同盟国である米国を経由するのが最適と判断した」と報じた。情報交換のための法律的な土台は、韓国国防部が明らかにしたように、2014年12月に締結したTISAを活用して設けるものとみられる。三角軍事同盟を強く警戒する中国の反発が予想される。
これに先立ち、3カ国の首脳は昨年11月、カンボジアのプノンペンで会い、「北朝鮮ミサイルの探知・評価能力を向上させるためにミサイル警報情報をリアルタイムで共有することを目指す」という内容を共同声明に明記し、具体策について議論してきた。日本は人工衛星、陸上の探知レーダー、海上のイージス艦などで北朝鮮のミサイルを追尾するが、水平線を越えた北朝鮮側で行われた初期の動きを正確に把握できない。そのため、誤った情報判断で少なからぬ混乱を引き起こしてきた。特に北朝鮮が先月13日、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18号」を発射した際、北海道に落ちる恐れがあるとして緊急警報である「Jアラート」を発令し、航空機と列車の運行が中断され、住民を避難させる騒ぎを起こした。