年内にインテルのNAND事業部の買収を終える予定だったSKハイニックスが、中国政府の企業結合審査の遅延で困難な状況に陥っている。業界では、米国と中国の「技術覇権」対立が中国当局の審査遅延に影響を与えているという見方が多い。SKハイニックス側は「年内の承認を期待する」という立場を維持している。
SKハイニックスは昨年10月、インテルと90億ドルでNAND事業部を買収する契約を結んだ。両社の企業結合を審査する8カ国のうち、7カ国(韓国、米国、台湾、シンガポール、EU、英国、ブラジル)の競争当局が承認を決めた。しかし、中国の反独占審査の結果は何の音沙汰もない。
業界では、契約締結当時は両社の結合が中国の審査を通過するのに無理はないものとみていた。サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社が市場の90%を支配するD-RAM市場とは状況が異なるという理由からだ。NAND型フラッシュ市場は多くのメーカーが競争しており、相対的に独寡占の懸念は少ない。実際、市場調査会社オムディアの資料によると、今年第2四半期のSKハイニックスのNANDの市場シェアは12.4%(4位)で、インテル(6.7%、6位)のNAND事業部を買収すれば業界2位になるものの、市場シェアは20%に満たない。
こうした中、韓国に生産施設を置く米国の非メモリー半導体企業のマグナチップは14日、中国系プライベートエクイティファンド(PEF)への売却を取り消した。3月に中国系資本のワイズロードキャピタルに全株を売却すると発表した後、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査期間が2回延長されるなど、事実上通過が難しいと判断し、審査最終日の同日、M&A計画を撤回した。米財務省は6月、マグナチップに対し、会社売却契約の一時中止を求める「中間命令」を出している。同社の先端ディスプレー駆動チップ(DDI)技術などが中国に移転された場合、自国の安保の脅威になる可能性があるという懸念のためだという。同月、韓国政府もDDI技術などを国家重要技術に指定し、マグナチップの売却に介入する根拠を作った。
一部の専門家らは、自動車向け半導体サプライチェーンの話題をきっかけに強化された米中の自国産業保護政策が、マグナチップの買収合併の取消やSKハイニックスのインテルNAND事業部買収承認の遅れなどに影響を及ぼしているとみている。産業研究院のキム・ヤンパン専門研究員は「中国系資本によるマグナチップの買収は承認しながらも、SKハイニックスのインテルNAND事業部買収承認には消極的なのは、中国の半導体産業戦略と関連があるものとみられる」とし、「インテルNAND事業部を買収したSKハイニックスがNAND市場2位の業者に拡大すれば、今後この市場で成長の可能性がある中国企業にとっても潜在的な脅威になるため、時間稼ぎをしているものと思われる」と説明した。
米中間の半導体覇権争いが続く場合、2030年までにグローバルファウンドリ市場1位を達成しようとしているサムスン電子も影響を受けるのは避けられないという観測もある。サムスン電子が現在非メモリー半導体業界トップの台湾のTSMCと競争するためには、新規工場を建設したり、大規模な買収合併を推進しなければならないが、最近の状況からみると、買収合併の試みは米中対立のため、制止がかかる可能性があるという。これに先立ち、サムスン電子は1月に「今後3年間、戦略的施設投資の拡大と意味あるM&Aの可能性を肯定的に考えている」と発表した。