日本の消費者物価が原材料価格の上昇と円安の影響で約31年ぶりの最高値を記録した。「失われた30年」と呼ばれる長期不況の中で物価変動を体感できずに生きてきた日本国民にとっては、相当な打撃となっている。
日本の総務省が20日発表した8月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)をみると、昨年同期に比べ2.8%上昇した。これは2014年10月(2.9%)以来7年10カ月ぶりの最高値だ。NHKは「2014年4月の消費税率引き上げの影響を除けば、1991年9月以来、30年11か月ぶりの水準」だと報じた。1991年は日本の「バブル景気」がはじけたばかりの時期であり、物価が高い水準を維持していた。
庶民生活に直接影響を与える食品・エネルギーの部分が特に多く上がった。食品(生鮮食品を除く)の場合、522品目のうち372品目が値上げされた。毎日使うエネルギー料金も急騰した。都市ガスが26.4%、電気は21.5%も急騰した。ガソリン価格も6.9%上昇した。
日本の消費者物価が上がったのは、ロシアがウクライナに侵攻し原油、天然ガス、穀物などの価格が急騰したうえに、円安が24年ぶりに最低水準となり、原材料など輸入費用がさらに増加したためだ。そのため食品、外食、公共料金などが全般的に上がっている。
消費者物価は今年1月までは0.2%の上昇にとどまっていたが、戦争が始まった後の4月(2.1%)から2%台に急騰した。さらに8月まで5カ月連続で2%台を維持している。読売新聞は最近の物価の流れに対して「日本銀行が目標とする2%を5カ月連続で超えたが、需要増に伴って物価が上がる望ましい姿とはほど遠い」として「コスト増による『悪い物価上昇』」と分析した。日本銀行はこれまで物価上昇を誘導し消費の好循環をもたらすとし、緩和政策(アベノミクス)に固執してきた。
問題は賃金は上がらないまま物価だけが跳ね上がり、消費が冷え込み景気に打撃を与える可能性が高いという点だ。共同通信は「十分な賃上げが広がらないまま生活必需品中心の値上げが家計を直撃する構図が続く」と報じた。
日本政府は積極的に乗り出している。岸田政権はこの日閣議を開き、物価対策として今年の予備費から3兆4847億円を投入することにした。これに先立ち、低所得層支援のため住民税非課税世帯に世帯当たり5万円を支給することにした。全世帯の約4分の1にあたる1600万世帯が対象になる。このための予算は8540億円と予想されている。ガソリン価格の上昇を抑制するために支給する補助金も、当初は今月末までだったが、年末まで延長する。日本政府は10月に総合経済対策をまとめて発表する予定だ。