福島第一原子力発電所(福島原発)の放射性物質漏洩事故という最悪の原発事故を経験した日本で、首相が原発の新規建設を検討すると明らかにした。正式に確定すれば、福島原発事故以後の日本の原発政策の大転換であり、激しい論議が繰り広げられるとみられる。
岸田文雄首相は24日、東京の首相官邸で開かれた脱炭素社会実現のための会議「グリーン・トランスフォーメーション」(GX)実行会議で「次世代革新炉の開発・建設など、今後の政治判断を必要とする項目が示された。あらゆる方策について、年末に具体的な結論を出せるよう(与党や専門家の意見も踏まえ)検討してほしい」と述べた。
2011年の3・11東日本大震災の影響で、福島原発で水素爆発が起こり、この事故による放射性物質汚染で多くの避難民が発生した。日本政府が推算した事故処理費用は21兆5000億円であり、福島原発の廃炉がいつ完了するかも不透明だ。当事の菅直人首相は「国家存立の危機」と回想したこの事故後に、原発ゼロ政策を推進した。2012年末に発足した第二次安倍晋三政権が原発再稼働に転換し、原発ゼロ政策は白紙化された。だが、根強い原発反対世論のために安倍政権時も「原発の新増設は検討しない」が政府の公式な立場だった。ただ、最近になって日本の経済産業省は、現在の原発より安全性を高めた改良型原子炉を開発し、2030年代には商業運転をするという内容のロードマップを作成するなど、最近は新規原発推進の雰囲気が垣間見えていた。
岸田首相の方針転換検討の背景には、2月末のロシアによるウクライナ侵攻以後に国際的エネルギー価格上昇及び脱炭素政策推進のために、原発を活用できるとするフランスなど、一部国家の動きと関連がある。今年末までにすべての原発の稼働を中断する計画であるドイツでも、最近原発稼働を一時延長しようという議論がある。しかし、旧ソ連のチョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故と並んで超大型原発事故に挙げられる福島原発事故を経験した日本社会で、原発の新規建設の封印を解くことに反対する世論は少なくないものとみられる。
日本政府はこの日の会議で、来年夏以降に新たに7基の再稼働を推進する方針を表明した。日本国内の原発は合計33基あるが、このうち10基に再稼働の実績があり、現在運転中の原発は6基だ。岸田首相は「再稼働のために国家が前面に立つ」と述べた。また、日本政府は中長期的に現在最長60年まで可能な原発の運転期間を延長する案も検討する。