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クアッド合意の「海洋状況把握パートナーシップ」、中国海上民兵隊の監視狙いか

登録:2022-05-26 09:50 修正:2022-05-26 12:38
インド太平洋地域の違法漁業・災害対応が目的 
東シナ海・南シナ海で中国の海上活動監視も可能に
昨年4月、米海軍誘導ミサイル駆逐艦USSバンカー・ヒルが「航行の自由」作戦の一環としてマレーシア空軍戦闘機とともに中国が領有権を主張している南シナ海海上で合同訓練を行っている=米海軍提供//ハンギョレ新聞社

 米国・日本・オーストラリア・インドの4カ国がクアッド(Quad)首脳会合で合意した「海洋監視協力システム」は事実上、東・南シナ海などで軍事的緊張を高める中国の海上活動を狙ったものだという指摘が出ている。

 クアッドは24日の首脳会合後に発表した共同声明で「地域のパートナーと協働し、人道及び自然災害に対応し、違法漁業と戦うために設計された『海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)』を歓迎する」と明らかにした。このパートナーシップは「我々の海や海洋の安定及び繁栄を促進」とし「インド太平洋諸国及びインド洋、東南アジア、太平洋諸島の地域情報融合センターを支援し、これらと協議しながら取り組んでいく」と説明した。

 クアッドが合意したパートナーシップの核心は、シンガポール(南シナ海)、インド(インド洋)、バヌアツ・ソロモン諸島(南太平洋)にある既存のネットワークを連結し、この地域にリアルタイムで海上を監視する衛星基盤システムを作るというもの。米政府関係者は「フィナンシャル・タイムズ」に「リアルタイムで海上情報を提供する各国の商業用衛星基盤追跡サービスと協力するために『クアッド』が資金を支援する」と語った。

 このシステムが構築されれば、船舶の送受信装置を切って監視を避けて違法操業する漁船も追跡が可能だ。インド太平洋地域などで行われる違法操業の95%が中国漁船であることが知られており、これは事実上、中国を狙うものといえる。日本経済新聞は「違法漁船など沿岸警備に関する情報をインド太平洋地域の国で共有する構想」だとし「南シナ海で中国と領有権を争うベトナムやフィリピンなどとの連携を想定」していると伝えた。

 このシステムが違法操業の監視を越えて、今後東・南シナ海などで拡大する中国海軍の活動を監視することになりうるという観測もある。クアッド首脳らは共同声明で「東シナ海及び南シナ海におけるものを含むルールに基づく海洋秩序」に言及し、「係争のある地形の軍事化、海上保安機関の船舶及び海上民兵の危険な使用など、現状を変更し、地域の緊張を高めようとするあらゆる行動に強く反対する」と宣言した。フィナンシャル・タイムズは「今回の(海洋監視)パートナーシップは、インド太平洋地域の国々が違法漁業だけでなく、中国の海上民兵隊などを相手にできる力を増大させるために結ばれた」と伝えた。海上民兵隊は漁業に従事しているが、実際には海洋警備隊と海軍に活用されているという疑惑を受けている。米政府関係者は同紙に対し、「(システムが構築されれば)この地域の国家の海岸と排他的経済水域で何が起こっているのか分かるようになる」と述べた。

 中国は、東シナ海と南シナ海一帯で日本、ベトナム、マレーシア、フィリピンなどと領有権争いがある。また、台湾海峡は米中戦略競争の最前線に浮上し、軍事的緊張が高まっている状況だ。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1044341.html韓国語原文入力:2022-05-25 18:07
訳C.M

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