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「多極体制」への意志示すロシアの侵攻、試される米国の「一極体制」維持の力(2)

登録:2022-06-06 06:32 修正:2022-06-06 10:20
分断する世界、再編される秩序 

西側諸国、前例のない制裁に乗り出したが 
グローバル化で中ロへの経済依存高まる 
インドや中南米など離脱、制裁網に亀裂 

クアッドとIPEFに基づく米国の同盟結集は 
中ロ+トルコやイランなどの「連帯」招く 
反米地域ブロックを形成させる可能性も 

ウクライナ戦争が終わってもサプライチェーンの再編で 
世界経済の分節化は避けられない見通し
ウクライナ戦争100日、分断する世界(資料:欧州会議調査局)//ハンギョレ新聞社
ウクライナ戦争100日(下)//ハンギョレ新聞社

 経済的にも米国は、世界の地政学秩序の3大軸であるロシアを完全に孤立させるために同盟を総動員し、前例のない制裁を主導した。しかし、米国の覇権の限界と亀裂も明らかになった。

 開戦直後の3月2日、国連総会で採択されたロシア軍撤退決議案について、193の加盟国のうち賛成した国は141カ国、反対は5カ国、棄権は35カ国だった。棄権した国には中国やインド、南アフリカ共和国など主要国が多く含まれた。国連人権理事会でロシアを除名する4月7日の投票では、賛成93カ国、反対24カ国、棄権58カ国で、反ロシアのムードが緩和された。ブラジル、インドネシア、サウジアラビア、メキシコなどいわゆる「ミドルパワー」国家が次々と棄権し、「米国と距離を置く」姿勢をみせた。

 これらの国が米国に協力しなかったのは、冷戦解体後に急速に進んだグローバル化により、中ロと経済的な相互依存度が高まったためだ。特にロシアは、エネルギー分野で独歩的な存在感を誇っている。そのため、中国、インド、トルコ、ブラジル、南アフリカ共和国などは戦争後もロシア産石油と肥料などを輸入し続け、対ロ制裁網に亀裂を入れている。

 南米の親米国であるブラジルさえも、輸出農作物に欠かせないロシア産肥料を意識し、ロシアとの貿易を維持している。特にインドは、安値になったロシア石油の輸入量を3月の43万トンから5月には336万トンに増やし、大きな経済的利益を得ている。欧州連合(EU)も石炭と石油の禁輸に踏み切ったが、全体輸入量の40%を占めるロシアの天然ガスには手をつけられずにいる。

 現在、国際社会の前に置かれた道は二つある。一つ目は、中ロを孤立させようとする西側諸国の試みが成功してロシアが弱体化し、中国の成長がくじかれる道だ。この場合、米国中心の自由主義国際秩序はしばらく維持されるだろう。

 二つ目は、中ロが米国などの包囲を突破し、ブロックとして生き残る道だ。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は3月30日、中国安徽省屯溪で中国の王毅外相に会い、「我々は国際関係の歴史で重要な段階を通過している。私はこの結果によって国際情勢がより明確になると確信している。中国、そして我々と意を共にする国民と共に、より正義に基づき、民主的な『多極体制』へと移動する」と述べた。

 この場合、中ロ連帯にトルコやイラン、インドなどが片足をかけるユーラシア連帯が形成される可能性がある。中ロなど大陸国家がイランなどユーラシア大陸の環形地帯に位置する国家と連帯するのは、地政学の創始者と呼ばれるハルフォード・マッキンダー(1861~1947)からズビグネフ・ブレジンスキー(1928~2017)元大統領補佐官(国家安保担当)に至る西欧戦略家たちが最も警戒してきたシナリオだ。

 戦争が長期化し、経済ブロック化は深化したが、誰が勝者なのか曖昧になるシナリオもある。ウッドマッケンジーのピーター・マーティン調査局長は最近の報告書で、「新型コロナウイルス感染症がサプライチェーン短縮の必要性を浮き彫りにしたとすれば、ウクライナ戦争は信頼できる貿易相手を持つことが重要だとを気づかせた」として、「グローバル化は終わらないだろうが、世界の貿易は2つかそれ以上の明確なブロックに再組織される可能性がある」と見通した。コンテナエクスチェンジのクリスティアン・レロフス最高経営者(CEO)も「中国と欧州、中国と米国の間の巨大な東西貿易に対する依存度が確実に低くなるだろう」と予想した。

 このような貿易と貿易ルートの変化は、ベトナムなど東南アジア諸国や中南米、アフリカ諸国にとってはチャンスになり得ると、二人の専門家は予測した。相互貿易が減った西側と中国が、他の地域の国々を相手に貿易と市場を確保しようとするためだ。ウクライナ戦争以後、トルコやインドなどユーラシア大陸の環形地帯国家や中南米やアフリカのミドルパワー国家が、米国と距離を置き、独自の行動を追求しているのはこのような背景からだ。

 戦争は新型コロナパンデミックと重なり、サプライチェーンの再編と世界経済の分節化へとすでに突き進んでいる。戦争がいかなる形で終わっても、ロシアの原材料、中国の生産力と市場が、西側の経済と統合する度合いが低下するのは明らかであるからだ。その過程は、陣営間の安全保障・経済危機が繰り返されるという、以前よりも不確実で危険になった世界だ。

チョン・ウィギル先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1045784.html韓国語原文入力:2022-06-06 02:40
訳H.J

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