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ウクライナ東部の激戦地が焦土に…「遺体埋葬もできず放置」

登録:2022-05-30 02:20 修正:2022-05-30 08:19
地域内の最大都市、電気と通信が途絶える 
ロシア軍、市内の密集地域に直接攻撃 
近隣の主要都市からは避難の列 
墓地には土のみで覆った遺体が160体以上
ロシアの集中攻撃を受けているルハンシク州のリシチャンシクから28日(現地時間)に列車で脱出し、ドネツク州ポクロフスクに着いた女性が、子どもたちと共に車内で座っている=ポクロフスク/AP・聯合ニュース

 ロシアがウクライナ東部のルハンシク州西部地域に猛攻を浴びせ、同地域最大の都市セベロドネツクが焦土と化し、近隣のリシチャンシクでは多くの犠牲者が埋葬すらされない事態も起きている。両都市はルハンシク州内のウクライナ軍の最後の拠点であり、両都市が陥落すればルハンシク州全土がロシア軍の手に落ちる。

 ルハンシク州のセルヒ・ガイダイ知事は、ロシア軍がセベロドネツク市内の一部に進入している中、市内の建物の90%ほどが砲撃などで被害を受けたと明らかにした。ロイター通信が28日(現地時間)報道した。ガイダイ知事はこの日、ロシア軍の攻撃で14階建ての建物が破壊されたとし、市内には数十人の医療スタッフがいるが、砲撃のため病院への接近も難しいと語った。

 セベロドネツク軍政の責任者を務めるオレクサンドル・ストリウク氏は国営放送の番組に出演し、市内の移動通信網が断たれており、電気も供給されていないと語った。同氏は、野外にさらされている井戸にポンプを緊急投入して住民に水を供給しているが、飲み水を求めて集まった住民たちが砲撃にさらされているため、極度に危険な状態だと述べた。

 川を挟んでセベロドネツクと向かい合うリシチャンシクでは、ロシア軍の集中攻撃のために住民が外部へと脱出している。米国CNNが報道した。町を脱出するために当局が用意した車両に乗った74歳の女性エカテリーナさんは、家を離れることなど想像もできなかったとし、「荷物もちゃんと用意できなかった。どこに行って暮らすかも分からないが、殺されるよりはましだ」と語った。

 CNNによると、野外で調理して食事し、地下室で過ごしている大家族も目撃した、この家庭の子どもたちは爆撃音の聞こえる野外でブランコに乗っていたという。市内の墓地には遺体がきちんと埋葬されずに放置されていた。犠牲者の160体ほどの遺体は土で適当に覆われた状態であり、一部の遺体は遺体収拾用の白い袋に名前と収拾された日付だけが記され放置されていた。隣にはさらなる遺体収拾に備えて空けてある空間もあったとCNNは伝えた。

 ロシア国防省はこの日、ロシア軍とロシア系分離主義勢力がドンバスの戦略的要衝であるライマンを完全に掌握したと発表した。ロイターが伝えた。しかし現地メディアの報道によると、ウクライナのマリャル国防次官は、ライマンでの戦闘は続いていると主張した。ライマンはセベロドネツクから西に60キロメートル離れたドネツク州の鉄道の中心地であり、同地がロシア軍の手に落ちればルハンシク州西部の戦況にかなりの影響が及びうる。

 ロシア軍がルハンシク州でゆっくりながらも着実に占領地を広げていることで、同地域の戦況は微妙に変わりつつあるとロイターは指摘する。米国の国防シンクタンク「戦争研究所」のアナリストたちは、ロシア軍がセベロドネツク市内の建物密集地域に直に攻撃を加える段階に至っていると分析したと同通信は報じた。

 ルハンシク州でウクライナ軍が苦戦する中、ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相はこの日、声明を発表し、米国とデンマークから155ミリりゅう弾砲と対艦ミサイル「ハープーン」を受領したと明らかにした。レズニコフ国防相は、「これによって、かなり離れた敵に対する攻撃が可能になった」と説明した。ウクライナ軍はSNSで、ハープーンを南部の黒海沿岸都市オデーサに配備し、ロシア黒海艦隊への攻撃用として使用すると明らかにした。

 一方、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とドイツのオラフ・ショルツ首相は同日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談を行い、即時休戦を求めた。両国の首脳は、ウクライナの穀物輸出の再開のためにオデーサ港の封鎖を解除することも要求し、プーチン大統領は穀物輸出再開の方策を議論する用意があると語った。プーチン大統領は、西側が制裁を解除した場合に穀物と肥料の輸出を拡大する準備もロシアはできていると付け加えた。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1044788.html韓国語原文入力:2022-05-29 12:17
訳D.K

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