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バイデン、中国-台湾武力衝突時、軍事介入を表明…「戦略的曖昧性」廃棄?

登録:2022-05-23 20:11 修正:2022-05-24 06:52
有事の際の「軍事的関与」尋ねる質問に「イエス…それが約束」 
昨年8月以後3回目…意志表明、さらに明確に 
武力を通じた「現状変更」を遮断…「軍事的に誤った判断をするな」とのシグナル
ジョー・バイデン米大統領が23日午後、東京赤坂の迎賓館で岸田文雄首相と会談した後に臨んだ記者会見で、記者団の質問に答えている=東京/AFP・聯合ニュース

 ジョー・バイデン米大統領が、台湾有事事態が発生した場合に「米国は軍事的に関与する」と答えた。中国との対立を避けるために台湾防御について明確な立場を明らかにしない「戦略的曖昧性」原則から少しずつ脱却する様子だ。

 バイデン大統領は23日午後、東京赤坂の迎賓館で米日首脳会談を終えて臨んだ記者会見で、中国が台湾を軍事的に攻撃する場合を意味する「台湾有事事態が発生すれば、米国が軍事的に関与(commitment)するのか」という質問に「そうだ(Yes)、それが私たちの約束だ」と答えた。これまで米国は、中国が台湾を攻撃した場合に軍事的に介入するかに対して明確な立場を明らかにしない「戦略的曖昧性」原則を維持してきた。

 バイデン大統領が台湾を防御するとの意向を明らかにしたのは、今回が初めてではない。バイデン大統領は昨年10月、「CNN」がボルチモアで主催したタウンホールで、ある聴衆が台湾をめぐる米中の摩擦について尋ねると「私は中国との新冷戦を望まない。ただ我々は退かず、我々の見解を変えることはないという点を中国が理解することを望む」と話した。

 これに対し進行者のアンダーソン・クーパー氏が「中国が台湾を攻撃した場合、台湾を防御するということか」と尋ねると、バイデン大統領は「そうだ。我々は約束している」と答えた。

 バイデン大統領が述べた台湾との「約束」は、台湾関係法を念頭に置いたものとみられるが、この法に台湾防衛義務は入っていない。米国は1955年に台湾と相互防衛条約を結んだが、1979年には中国と国交正常化し、これを廃棄した。その代わり米国は正式に「一つの中国」政策により台湾に対する中国の主権主張を認める一方、台湾関係法により台湾への武器販売などを通じて台湾の自主防衛力を支援している。台湾に外部勢力が侵入した時、米国政府は軍事的に介入できるかについては肯定も否定もしない「戦略的曖昧性」を維持してきた。

 バイデン大統領は昨年8月にも似たような発言をした。「ABC」とのインタビューで、アフガニスタン事態と関連して北大西洋条約機構(NATO)の集団防衛条項である相互防衛条約5条に言及し「日本、韓国、台湾に対しても同じこと」だと述べた。当時、バイデン大統領の発言後にホワイトハウスは「米国の台湾政策は変わっていない」と収拾した経緯がある。バイデン大統領がこれまですでに3回も台湾を防衛する意向を明らかにしたのは、武力による「現状変更」の試みを決して受け入れないとの決意を表すことで、中国の「軍事的に誤った判断」を阻止する意図と見られる。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/1043973.html韓国語原文入力:2022-05-23 15:55
訳J.S

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