英国が6月末から日本の福島産食品に対する輸入規制措置を撤廃することにした。台湾に続き英国まで「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP)に加盟するために「決断」を下したことで、韓国の悩みが深まるものとみられる。
英国政府は5日、報道資料を出し、「ボリス・ジョンソン首相が同日、日本の岸田文雄首相と会談し、福島産食品に対する規制を解除し、貿易関係を増進させることにした。インド太平洋地域は世界の成長に力を与えており、日本はこの地域で欠かせないパートナー」だと明らかにした。東南アジアと欧州の歴訪に出た岸田首相は、同日の英国訪問で日程を終える。
テレビ朝日も「イギリスの首相官邸は4日、福島県産のきのこや一部の水産物、宮城県産の山菜類など9県23品目の食品について、放射性物質の検査を義務付ける輸入規制を撤廃する方針を明らかにした」とし、「両首相が会談で福島県食品を試食し、安全をアピールする予定」だと報じた。
英国が11年ぶりに福島産食品の輸入規制を解除したのは、CPTPP加盟のためには日本の同意が欠かせないからだ。CPTPPは日本やオーストラリア、カナダなど11カ国が2018年12月に発足させた多国間自由貿易協定(FTA)だ。「ブレグジット」(欧州連合脱退)以降、インド太平洋地域で新しい活路を模索している英国は、昨年2月にCPTPP加盟を申請した。加盟のためには、CPTPPの主導国である日本を含む加盟国全員の賛成が必要だ。
英国が福島産食品輸入規制を撤廃すれば、同措置を維持する国および地域は東日本大震災直後の55カ国から、韓国と中国を含む13カ国に減る。先にCPTPP加盟を申請した台湾も13カ国に含まれているが、福島など5県の食品などに対する輸入禁止を今年2月に解除した。現在、台湾は野生の肉やきのこなど一部のみ輸入禁止を維持している。
韓国政府は先月「CPTPP加盟推進計画」を議決するなど、近い将来加盟申請を行う予定だ。だが、福島産食品や水産物などの輸入規制の撤廃が事実上加盟の前提条件になったことで、厳しい立場に置かれることになった。韓国は現在、福島など近隣8県のすべての水産物と14県の農産物27品目に対する輸入を禁止している。その上、日本が2023年春から福島第一原発敷地のタンクに保管している「汚染水」の海洋放出を決めたことで、世論が大きく悪化し、英国や台湾のように決断を下すのが容易ではない状況だ。