ロシア国防省は、ウクライナの主な要所である南東部の都市マリウポリを完全に占領したと主張し、マリウポリに残っているウクライナ軍兵士は降伏しなければ射殺されるだろうと警告した。ロシア軍は、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を含む主要都市にもミサイル攻撃と爆撃を加えた。
ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は16日(現地時間)、「マリウポリのすべての中心地域は完全に掃討された」と述べ、「ウクライナの残存兵力は現在、アゾフスタリ製鉄所地域に完全に封鎖された」とし、「命を救う唯一の機会は、自発的に武器を捨て降伏することだ」と述べたと、ロシアの「RIAノーボスチ」通信が報じた。
ロシア国防省は、マリウポリのウクライナ軍兵士に、モスクワ時間17日午前6時から午後1時(韓国時間正午から午後7時まで)までに武器を捨てれば命を救うと発表した。ロシアは、降伏すればジュネーブ条約に従い捕虜としての待遇を受けることになると提案した。このような降伏提案は、マリウポリのウクライナ軍兵士たちに向け30分ごとに放送されており、キーウのウクライナ政府の許可にこだわらずに自発的に決めるよう威嚇した。
「アルジャジーラ」は、ロシア軍の占領地域にいるジャーナリストが、ウクライナ軍兵士が地下トンネルやバンカーを掘り抗戦した製鉄所地域のうちの1カ所に近付いたが、防衛している兵士が残っている跡はないと報じた。BBC放送によると、マリウポリ市の役人が、ロシアが18日からマリウポリへの接近を封鎖すると語っており、人道的災害事態が深刻化する懸念が強まっている。
ロシア国防省は、これまでマリウポリから16万8000人を非難させたと主張した。国際赤十字などの救護団体は、マリウポリからの民間人避難の努力については、ロシアとウクライナの双方が互いに責任を問い、常に破られてきたと指摘した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ニュースポータル「ウクライスカ・プラウダ」などとのインタビューで、「(マリウポリにいる)わが軍やわれわれの人々を殺せば、(ウクライナとロシアの間での)いかなる交渉も中断されるだろう」と述べた。彼は「ロシアを極度に憎む部隊があり、私はロシアが彼らを生かしておくとは思えない」と述べ、ロシアがウクライナ侵攻の一つの理由として挙げた「脱ナチ化」の対象である極右民兵隊により構成された「アゾフ大隊」が危機に陥っていることを示唆した。アゾフ大隊は、ウクライナ海兵隊とともにマリウポリ防衛戦の主力部隊だ。
ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は「マリウポリ解放の過程で、ウクライナ軍兵士1464人がすでに降伏した」とし、「4月16日現在、マリウポリのウクライナ軍兵士の死傷者は4000人を超える」と主張した。彼はまた「ロシア国防省は、ウクライナの兵力が被った実質的な損失についての信頼に値する資料を持っている」とし、「回復できない損失は2万3367人に達する」とも付け加えた。
しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は、これまでに2500~3000人のウクライナ軍兵士が戦死し、ロシア軍兵士は2万人が戦死したと主張している。
マリウポリは、ロシアがウクライナを侵攻してから最も激しい戦闘が行われた場所だ。ロシアがマリウポリを完全に掌握することになれば、2014年に強制併合したクリミア半島とロシア系分離主義勢力が占領したドンバス地域の一部が結ばれることになる。ロシアとしては、黒海沿岸を含むウクライナの東部・南部地域を掌握することになるわけだ。ロシアのマリウポリ完全占領が確認されれば、マリウポリは戦争開始後に初めてロシアが掌握するウクライナの主要都市になる。
ロシア軍は16日、ウクライナの首都キーウにある戦車の修理工場を爆撃したと発表した。ロイター通信が報じた。キーウ南東部のダルニツキー地域でも爆発音とともに煙が立ち上り、ダルニツキー市長は少なくとも1人が死亡したと明らかにした。ウクライナ軍は、ポーランドに接する西部リビウにも、ベラルーシから離陸したロシア軍の爆撃機がミサイルを発射したと明らかにした。ロシア軍の攻撃は、ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」の沈没に対する報復とする見解が多い。ロシア軍は14日、『モスクワ』(排水量1万1500トン)が「火災で船体が損傷された状態で港に移されていた途中、荒波により安定性を失い沈没した」と発表した。
「モスクワ」は、第2次世界大戦後の作戦中に沈没したロシアの軍艦のなかでは、最大の船だ。しかし、ウクライナは自分たちが発射した「対艦ミサイル『ネプチューン』がモスクワに命中した」と主張した。翌15日、ロシア軍はキーウ周辺の軍需工場を巡航ミサイルで攻撃したと明らかにした。ロシアが攻撃した軍需工場は、ネプチューンミサイルを生産した工場だと分かった。
一方、ロシア軍に占領されたウクライナの首都キーウ一帯で、民間人の遺体900体以上が発見されたと、ウクライナ警察が明らかにした。キーウ州警察のアンドリー・ネビトヒ長官は15日、「ロシア軍が撤退した地域で900体を超える民間人の遺体が発見された」と述べたと、AP通信が報じた。