生放送のニューススタジオに入り、「戦争をやめて」と訴えたロシアの女性ジャーナリストが罰金刑を受けた。英国BBCが15日(現地時間)報道した。
ロシアの国営放送「チャンネル1」の編集者マリーナ・オフシャンニコワ氏は14日夕方、同放送の看板ニュース番組「ブレーミャ」の生放送中にスタジオに入り「戦争反対、戦争を中止せよ、宣伝扇動を信じるな、彼らはここで嘘をついている」と書いた紙を掲げた。彼女は「戦争反対」などを叫んだりもした。毎晩9時に放送されるこの番組は数百万人が視聴する人気ニュース放送だ。
オフシャンニコワ氏はこれに先立ち、戦争反対を訴える動画も制作していたとBBCが報じた。彼女はその動画で「テレビの画面に嘘をついているのを恥ずかしく思う。ロシア人がゾンビになるのを放っておくことを恥ずかしく思う。私たちは非人道的な政権を静かにただ見守ってきた」と述べた。
オフシャンニコワ氏は事件直後から14時間にわたり取り調べを受け、3万ルーブル(約3万3千円)の罰金刑を受けた。この罰金刑は反戦動画制作に対する処罰であり、生放送中の行動に対して別途処罰されるかどうかはまだ不確かだ。ロシアは最近、戦争と関連した「フェイクニュース」を厳しく処罰する改正刑法を施行しており、オフシャンニコワ氏がさらに厳しい処罰を受ける可能性もある。
オフシャンニコワ氏は裁判後、記者団に対し「この行動は私個人の反戦の決意によるものだ。ロシアの(ウクライナ)侵攻が嫌だという思いで決心した」と述べた。同氏は取り調べを受ける間、家族や友人はもちろん、弁護士にも会えなかったと語った。父親がウクライナ人であるオフシャンニコワ氏は、普段は政治問題を論じず、自分の子どもたち、ペット、家庭の話を主にする人だったとBBCは伝えた。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は彼女の行動を称賛した一方、ロシア大統領府報道官は「暴動(フーリガニズム)」と規定した。
ロシア政府の住民統制が強化される中、代表的な野党関係者であるアレクセイ・ナワルニー氏が新たな犯罪容疑で追加の処罰を受ける危機に追い込まれているとAFP通信などが伝えた。検察は同日、ナワルニー氏に対して詐欺と法廷冒涜の疑いで13年の懲役刑を求刑した。
2020年8月、ロシア政府の犯行と推定される毒殺の試みを生き延びたナワルニー氏は、昨年2月、詐欺容疑などで2年6カ月の懲役刑に処された。ナワルニー氏はこの日、法廷で「戦争に対抗するのは独裁に対抗することだ。これはまたプーチンに対抗して戦うことだ」と述べた。