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相次ぐ北朝鮮のミサイル発射に制裁の刀を抜いた米国…「対北朝鮮政策は変わらない」

登録:2022-01-14 04:06 修正:2022-01-14 08:28
相次ぐ北朝鮮の弾道ミサイル発射に 
米国、北朝鮮国籍6人を制裁対象に 
国連で新たな対北朝鮮制裁も推進 
「外交続ける…北朝鮮は対話に関与してほしい」
北朝鮮が今月11日、金正恩朝鮮労働党総書記兼国務委員長が見守る中、極超音速ミサイルの発射実験に成功したと、労働新聞が12日付全面で報じた/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 米国のジョー・バイデン政権が北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射に対抗し、独自の対北朝鮮制裁を加え、国連安全保障理事会レベルの制裁まで進めている。昨年1月のバイデン政権発足後、北朝鮮の挑発的行為にも関わらず、忍耐を維持してきたが、今回は対応を強化したのだ。しかし対話と外交に重点を置いた対北朝鮮政策は変わらないと強調し、北朝鮮との対話の可能性を残した。

 米財務省外国資産管理室(OFAC)は12日(現地時間)、北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)と運搬システム(弾道ミサイル)開発に関与した北朝鮮国籍6人とロシア人1人、ロシアの団体を制裁リストに加えた。彼らは中国の大連やロシア、ウラジオストクなどで活動し、北朝鮮の核・ミサイル関連物品を調達したと、財務省は明らかにした。北朝鮮国籍者6人のうち5人は北朝鮮の兵器開発を主導する国防科学院所属。

 制裁対象になると、米国内の資産が凍結され、米国人との取引が禁止される。彼らが米国に資産を保有している可能性は極めて低いため、今回の制裁に実質的な効果はない。しかし、バイデン政権発足後、北朝鮮の弾道ミサイル発射と関連した米国初の対北朝鮮制裁という点で注目される。バイデン政権は先月10日、北朝鮮や中国、ミャンマーなどの個人と団体を制裁対象に加えたが、これは「国際人権の日」を迎え、人権侵害を理由にしたものだった。

 バイデン政権は昨年4月末、「外交を模索する実用的かつ調整されたアプローチ」という対北朝鮮政策の枠組みを公開し、北朝鮮に対話を求めてきた。 しかし、北朝鮮は昨年3月以降、弾道ミサイルの発射を繰り返しており、特に昨年9月には「極超音速ミサイル」と宣言した火星9型、10月には新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLMB)を発射した。にもかかわらず、バイデン政権は韓国と終戦宣言関連協議を進めるなど、外交的アプローチを維持してきた。

 しかし今年に入り、北朝鮮が5日と11日に相次いで「極超音速ミサイル」の発射実験を行ったことを受け、制裁の刀を抜いた。探知と迎撃が難しい威力的な兵器である極超音速ミサイル発射実験に対する国際社会の世論が悪化したため、これ以上黙ってはいられないと判断したようだ。

 アントニー・ブリンケン米国務長官は声明を発表し、「米国は国際平和と安保を深刻に脅かし、国際不拡散体制を弱体化させる北朝鮮の大量破壊兵器および弾道ミサイルプログラムに対処するため、あらゆる手段を講じる」と述べた。北朝鮮の今後の行動によってはさらに制裁と圧力を強化することもあり得ると警告したのだ。

 同時に、新たな国連安保理制裁も進める方針も示した。米国のリンダ・トーマス=グリーンフィールド国連大使は同日、ツイッターに「米国は北朝鮮が2021年9月から行ってきた弾道ミサイル発射に対し国連制裁を提案している」と明らかにした。ただし、米国と関係が悪化した中国とロシアが国連で新たな北朝鮮制裁に賛成する可能性は極めて低い。中ロはこれまで北朝鮮が核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射など、「レッドライン」を超えた場合に限り、安保理制裁に同意してきた。

 しかし、米国は今回の制裁が「対北朝鮮政策の変化を意味するものではない」と強調した。米国務省のネッド・プライス報道官は同日の定例記者会見で「米国の対北朝鮮政策に変化があるのか」という質問に「今回の制裁が、北朝鮮の弾道ミサイルプログラムに歯止めをかけようとする真の努力以外に他の何かを暗示しているという考えに、強く反対する」と答えた。制裁は「北朝鮮の大量破壊兵器と弾道ミサイルプログラムの進展を阻止しようとする我々の努力」にすぎないという立場を示したのだ。ブリンケン長官も声明で、「我々は北朝鮮との対話と外交を追求することに邁進してきた。引き続き、北朝鮮に交渉に関与することを求める」と述べた。

 ウクライナと台湾という「二つの戦線」で中ロと対立している中で、朝鮮半島でも緊張が高まることは米国にとっても大きな負担にならざるを得ない。しかし、北朝鮮が挑発的な行動を続け、2018年以降守ってきたレッドラインを越えた場合は、米国もこれに対抗するしかなく、悪循環が起きる可能性も完全に排除できない。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1027217.html韓国語原文入力:2022-01-13 17:49
訳H.J

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