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WHO、オミクロン株懸念した56カ国の渡航禁止措置に「冷静に対応すべき」

登録:2021-12-02 01:25 修正:2021-12-02 07:40
WHO「一律の渡航禁止は行き過ぎた措置」
11月30日、ポルトガル・リスボンのワクチン接種センターで、ある労働者が椅子を殺菌している=リスボン/AP・聯合ニュース

 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン」に対する懸念が高まる中、世界保健機関(WHO)と新型コロナワクチンを開発したビオンテックの最高経営者(CEO)が、冷静な対応を呼び掛けた。

 WHOは30日(現地時間)、オミクロン株に対応して多くの国が全面的な渡航禁止措置を取っていることに対し、否定的な立場を示したと、ロイター通信が報じた。WHOは同日、渡航勧告文を発表し「一律の渡航禁止措置はオミクロン株の感染拡大を防ぐことはできない」としたうえで、「このような措置はむしろウイルスに対する国家間の情報共有を妨げる」と指摘した。ただし、WHOは60代以上や免疫力の弱い人の場合は、渡航を延期するよう勧告すべきだと指摘した。

 WHOは「根拠に基づいた措置としては、渡航前や到着時の渡航客に対する新型コロナ検査や隔離措置などが考えられる」と明らかにした。

 WHOのテドロス・アダノム事務局長は同日、加盟を対象にした情報セッションで「オミクロン株の出現は当然全世界的に注目を浴びたが、驚いてはならない」とし、「世界の対応は冷静かつ組織的で一貫したものでなければならない。すべての加盟国が国際保健規定に従って、合理的で(リスクに)比例した措置を取ることを求める」と述べた。ロイター通信は28日現在、世界56カ国がオミクロン株の感染拡大を防ぐために渡航禁止措置を施行していると報道した。

 ワクチンを接種した場合、オミクロン株の重症化を予防できるという見通しも示された。ファイザー社のワクチンを共同開発したビオンテックのウグル・サビン最高経営者はフィナンシャル・タイムズとのインタビューで「もしウイルスが抗体を回避できたとしても、重症化を予防する二番目の免疫反応がある。T細胞だ」とし、冷静な対応を呼び掛けた。

 ファイザー社のワクチンはウイルスが体内細胞を感染させないように防ぐ「抗体」と、すでに感染した細胞を破壊する免疫細胞「T細胞」など2段階の保護膜を作るため、変異株が抗体を回避して体内に入ってきたとしても、T細胞の攻撃を受け軽い症状にとどまるという主張だ。

 ただし、サビン氏は「既存のワクチンはオミクロン株に対し、デルタ株ほど効果的ではないだろう」と述べた。既存のワクチンがオミクロン株の感染者の重症化を防ぐことはできても、オミクロン株への感染そのものを防ぐ効果は低い可能性があるという指摘だ。

チェ・ヒョンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1021491.html韓国語原文入力:2021-12-01 08:01
訳H.J

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