大企業である東芝グループでシステムエンジニアとして勤務していたA氏(当時30歳)は、2019年11月下旬に自ら命を絶った。彼の死は労災と認定された。長時間過重労働に苦しんだ末に発症したうつ病が原因に指定されたためだ。憂うつ症状は、彼が死を選択する直前の11月中旬に始まった。A氏は通訳業務からシステム開発部署に移動した後、労働時間が急速に増えた。亡くなる直前1カ月間の残業が100時間を超え、胃痛と不眠症を訴えたが業務環境は改善されなかった。
日本で「過労自殺」として労災認定された人を分析した結果、うつ病などが始まった後6日以内に自ら命を絶ったケースが最も多かったことが調査でわかったと、読売新聞が25日に報じた。過労自殺とは、長時間労働でストレスを受け、疲労が累積し、場合によってはうつ病を発症して自ら命を絶つことをいう。
日本の厚生労働省の資料によれば、2012~2017年の6年間に労働災害として認定された過労自殺事例は合計496人だ。このうち約半分の235人(47%)が、うつ病の症状が始まって「6日以内」に自ら命を絶ったと集計された。続いて「7~29日」が93人(19%),「30~89日」が75人(15%)だった。
過労自殺に追い込まれた人々の場合、長時間労働に苦しむ中で、業務の変化、人間関係の困難も体験したことがわかった。自ら命を絶つ前に、業務に変化があった事例が177件、2週間以上の連続勤務が109件、上司とのトラブルが92件、いじめ・暴行が60件に達した。労働時間についても、恒常的長時間労働が201件、1カ月間の残業が160時間以上を意味する極度の長時間労働も88件に上った。自身の状況が深刻なのに、318人(64%)は精神科治療など専門家の助けを受けていないことが分かった。
玉木一成弁護士は同紙とのインタビューで「会話や笑顔が減り、睡眠障害や食欲不振などの症状がある時は要注意で、上司や同僚、家族は変化を見逃さないようにしたい。経営者や管理職が労働時間を適切に管理し、過重な労働を防がなければならない」と話した。
日本での過労自殺は、1991年に広告会社「電通」の新入社員が入社から1年5カ月後に過重な業務で自ら命を絶った事件が裁判所で労災認定され、社会的問題として認識され始めた。