五輪に参加した選手らは、世界最強のライバル選手らとはもちろん、自分自身とも孤独な闘いをした。8日に閉幕する東京五輪は、新型コロナウイルス感染症の大流行と異例な猛暑などの“災難”にも立ち向かわなければならなかった、歴代のどの大会よりも選手に過酷な五輪として記録される見込みだ。
東京五輪では、新型コロナの陽性判定は選手にとって恐怖そのものだった。長期間準備した五輪に出場できない選手が続出し、やるせなさを与えた。陽性判定を受けた選手らは10日間の隔離生活を過ごさなければならないが、五輪は2週間ほどであるため、事実上競技に参加するのは不可能だ。
東京に出発する前に検査で陽性判定を受け東京行の飛行機に乗れなかった選手が相次いだ。男子ゴルフ世界ランキング1位のジョン・ラーム選手(スペイン)、射撃女子スキート世界ランキング1位のアンバー・ヒル選手(英国)も同様のケースだ。東京で陽性判定を受けると、ホテルなどの別の空間で10日間の隔離生活を過ごさなければならない。オランダのテコンドーのレシュミー・オーヒンク選手は「部屋があまりに狭く、窓を開けられず換気できなかった」とし、「隔離ではなく収監生活」だと非人間的な処遇を批判した。
島国特有の暑くて湿っぽい日本の気候は、野外種目の選手には新型コロナと同じぐらい恐ろしい対象だった。体感温度が摂氏38~39度まで上がり、競技の途中で倒れたり、最初から競技を放棄する選手も出た。テニス、アーチェリー、トライアスロンの選手が暑さで倒れたり苦痛を訴え、テニスの場合、競技開始時間が午前11時から午後3時に変わったりした。
特に、札幌で8日に行われた男子マラソン競技では、選手106人中30人(28%)が途中棄権したと、毎日新聞が報道した。マラソンと競歩は通常は東京より凉しい札幌で実施することが決まったが、21年ぶりの猛暑が押し寄せた。同紙は、(マラソン当日の)気温は幸い30度を越さなかったが、高い湿度が影響を与えたようだと報じだ。
一方、選手村に対する選手の不満も相当なものだった。SNSでは、ダンボール製のベッドはもちろん、事前に料金を支払うことでレンタル可能だったテレビと冷蔵庫、不足したクリーニングなどが俎上に上がった。