欧州と北米30カ国の軍事同盟体である北大西洋条約機構(NATO)が14日(現地時間)、共同声明を発表し、中国を同盟が共に対処すべき「構造的挑戦」(systemic challenge)と規定した。主要7カ国首脳会議(G7サミット)に続き、欧米主要国が米国のジョー・バイデン政権の主導で、中国に前例のない厳しい包囲網を敷いている。
NATO首脳らは同日、ベルギーのブリュッセルで首脳会議を行った後に発表した共同声明の55番目の段落で「中国の明らかな野心と強引な行動は、ルールに基づいた国際秩序と同盟安保に関する領域に構造的挑戦をもたらしている」と明らかにした。彼らはまた、「我々はワシントン条約(NATO条約)に明示された根本的価値と対照的な強圧的な政策について懸念を抱いている」とし、中国が核兵器と運搬システムを急速に拡張しており、欧州・大西洋地域での軍事演習に参加するなど、ロシアと軍事的に協力していると指摘した。首脳らはまた、「我々は中国がたびたび不透明で虚偽の情報を使用しているのを引き続き懸念している」と述べた。
首脳らはさらに「我々は中国が宇宙やサイバー、海上の領域など国際システムにおいて主要国家としての役割を維持しながら、国際的約束を維持し、責任ある行動を取ることを求める」と述べた。
共同声明の序盤の3段落目では「我々は強引かつ専制主義的国家からの多面的脅威と構造的競争に直面している」として、ロシアと中国を言及した。首脳らは「中国の拡大する影響力と国際政策は、我々が同盟として共に対処すべき挑戦をもたらしている」と強調した。
主にロシアの脅威に対抗する西欧諸国の軍事同盟体であるNATOが、共同声明に中国を挑戦要因として指摘したのは初めて。NATOは2019年の首脳会議では中国の影響力拡大は「機会であり挑戦」だと表現した。今回の共同声明は、同盟とともに対中国共同戦線を強化しようとするバイデン大統領の外交的勝利だと、ロイター通信は報じた。
首脳らはまた共同声明で、NATOは変化する安保環境に合わせて適応してきたとし、NATO事務総長にNATOの「戦略概念」(Strategic Concept)の発展に向けた指導力を発揮するよう要請することで合意したと明らかにした。新しい戦略概念は、2022年夏の首脳会議で承認される予定だ。
これと関連し、ホワイトハウスはNATOの新しい戦略概念に、ロシアの攻撃的政策と行動▽NATOの安全保障、繁栄、価値に加える中国の挑戦▽テロリズムやサイバー脅威・気候変動など超国家的脅威などの戦略的環境進化に対するアプローチが反映されると説明した。
NATO首脳らは共同声明に「可能な領域で中国と建設的対話は続ける」という点も含めた。彼らは「同盟に関する領域や気候変動のような共通の挑戦で、中国と関与する機会を歓迎する」と述べた。さらに中国の「核能力と原則」に関する意味ある対話と信頼の構築、透明な措置を求めた。
これに先立ち、11~13日に英国コーンウォールで開かれた米国、英国、ドイツ、フランス、カナダ、イタリア、日本によるG7サミット後、首脳らは中国に向けて新疆(自治区)、香港の人権問題と台湾海峡の平和・安定の重要性を強調し、新型コロナウイルスの起源に対する第2段階の調査を求めると共に、強制技術移転など非市場的行為を指摘する内容の共同声明を発表した。G7はまた、中国の陸・海上シルクロード構想「一帯一路」に対抗したグローバル・インフラ投資計画「より良い世界再建」(B3W)構想をスタートさせることにした。