米州韓国人有権者連帯のキム・ドンソク代表は21日(現地時間)、「バイデン新政権時代には、韓国は日本と協力するのが有利だ」と述べた。朝米関係は、バイデン政権が人権を重視し日本との協力を強調しているため、トランプ時代よりも複雑になったが、北朝鮮核問題は急速な進展は見られなくとも、段階的なアプローチで解決していく可能性があると見通した。30年以上米国政治の現場で活動してきたキム代表に、バイデン大統領就任1カ月を機にテレビ電話でインタビューした。
―バイデン大統領就任1カ月間の国政運営を評価するなら?
「米国国内政治で最も重要なことは、バイデン大統領が民主党を結束・統合するのに成功したという点だ。民主党候補になった時から、バイデンにとっては、党内の進歩勢力を抱き込んで党を結束させることができるかが絶対的な課題だった。引継ぎ委員会が発足した当初は政府の主要ポストに財力家が下馬評に挙がったが、ロン・クレイン氏がホワイトハウス秘書室長に起用されてからは、方向が変わった。進歩側のバーニー・サンダース上院議員やアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員などの参謀が国務省や国防総省、労働省など各省庁の主要な実務ポストに布陣したか、入る予定だ。また、バイデンが就任直後、約50の行政命令や法案で人種平等や健康保険、移民、最低賃金の引き上げなど革新的な議題を取り上げたが、党内の中道派の反発もほとんどない。バイデンは党を統合し、政策の中心を革新側に移動させることで、上・下院議員を選ぶ2022年の中間選挙でラストベルト(衰退した工業地帯)の下層労働者を引き入れる土台を作ったとみることができる」
―対外政策を総評するとしたら?
「同盟国や友好国との協力、そして多国間外交を通じた安定を構築している。トランプ政権の政策基調の中で、中国牽制はそのまま維持している。先月28日、バイデン大統領の主宰でホワイトハウスで初の国家安保会議(NSC)が開かれたが、国家安保会議が召集されたのは1年ぶりだという。それほどトランプ時代の外交安保システムが崩壊していたということだ。第1回国家安保会議のメッセージは各省庁間の壁を取り壊し、人権など価値問題に外交安保政策の焦点を合わせなければならないということだった」
―バイデン政権が対北朝鮮政策を準備しているが、どのような展望か。
「朝米関係はトランプ政権時代より2倍は難しいだろう。北朝鮮の人権問題のためだ。トランプは北朝鮮の権威主義や人権を問題視しなかった。しかし、民主党は伝統的に人権を重要視しているため、今後もこれをより多くイシュー化するだろう。北朝鮮人権問題についてのバイデン政権の中心人物たちの認識と脱北者の見方にはあまり差がない。対北朝鮮ビラ禁止法だけでなく、今後、北朝鮮人権に対する米議会聴聞会も多く開かれるだろう。またトランプ時代には北朝鮮問題で朝米だけに気を配ればよかったが、いまや米国が日本の声にも耳を傾け、中国も考慮しなければならない。はるかに複雑で難しくなるだろう。ただし、米国がイランの核合意モデルに言及していることから、北朝鮮核問題で北朝鮮が突発的な行動に出ない限り、進展は遅くとも『行動対行動』の方式で解決するだろう」
―韓国政府は朝米対話に向けてどのように動くべきか。
「ワシントンの現実を正確に見なければならない。バイデン政権とワシントンの人々の北朝鮮に対する不信感と人権に対する問題認識は、韓国よりも強い。これを冷静に認識し、バイデン政権との接点を作っていかなければならない。北朝鮮の核問題と関連し、トランプと北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が結んだシンガポール合意の話はしてはならない。バイデン政権にシンガポール合意の尊重を求めるのは、文在寅(ムン・ジェイン)政権に朴槿恵(パク・クネ)政権の政策を守れと言うのと同じだ。また、韓国の政治家たちがワシントンを訪問するときは国家安保の問題であるだけに、発言のレベルが少し低くなっても超党的な意見を持ってきてほしい」
―バイデン政権は韓日協力を前政権よりも強調している。韓国と日本に対するワシントンの見方はどうか。
「経済や文化芸術分野では異なるが、外交安保ではワシントンのインナーサークルが見る日本と韓国の比重は9対1とみられる。米国に新政権が発足するたびに『日本の方により気を使っている』、『日本に傾いている』と比較する世論がいまだに韓国で起きているのが残念だ。日本は経済規模も大きく、構造的に米国によって統制され管理される体制になりつつある。米国で日本はアジアではなく西側国家の一つとして位置づけられて久しい。ワシントンで日本の力は健在だ。バイデン政権になって南北関係や朝米関係、朝鮮半島平和体制のために韓国は日本と協力するのが有利で、賢明であろう」
―日本軍「慰安婦」を売春婦と規定したハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授の論文をめぐって議論が起きているが。
「2007年、米下院の慰安婦決議案の採択に一役買った者として、この問題が世界の女性人権問題として浮上するよりは韓日問題として浮上していてとても困惑している。記念碑を建てるにしても、少女像を建てるにしても、韓国で強く主張するよりは、韓国以外の国と良心的知識人を参加させて普遍的人権問題として声を上げるようするのがいいと思う」
―昨年11月の選挙で米連邦下院に韓国系議員が4人も入ったが。
「民主党2人(アンディ・キム、マリリン・ストリクランド)、共和党2人(ヤング・キム、ミシェル・パク・スティール)が当選した。米議会に莫大な資産を持つことになった。これまで米議会では、黒人問題は黒人が、イスラエル問題はユダヤ系が、中国問題は中国系議員が提起してきた。ついに韓国系が4人も入ったのだから、韓米関係が特定の問題をめぐり論争することはあっても、ゆがむ可能性は低くなった」