ロシアの新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」と、多国籍製薬会社アストラゼネカと英オックスフォード大学が共同開発したコロナワクチンを続けて接種する試験が始まった。2回行われる接種の間隔を短縮する効果が期待されるためだ。
スプートニクV開発の資金と流通を担うロシア直接投資基金(RDIF)は20日、「スプートニクVをアストラゼネカのワクチンの2次接種に使えば、3カ月待つ必要はないだろう」とし「こうした方式の臨床試験がすでに始まっている」と明らかにしたとタス通信が報じた。アストラゼネカのワクチンは2~3カ月の間隔を開けて2回の接種が勧告されており、接種間隔が長い方が効果が高くなると世界保健機関(WHO)は明らかにしている。
RDIFは、このような方式の接種はアストラゼネカだけでなく、他のワクチンにも最大90%の効果があると付け加えた。先にRDIFの最高経営責任者キリル・ドミトリエフは、スプートニクVとアストラゼネカの結合接種の臨床試験がアゼルバイジャン、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアで始まることを明らかにしていた。
これに関し、医学ジャーナル「ランセット」は、2つのワクチンを3週間~3カ月以内に結合接種すればワクチンの効果が高まるとの研究を19日に掲載した。スプートニクVを開発したロシア側とアストラゼネカは、両ワクチンの結合接種試験についての了解覚書を昨年12月に交わしている。
スプートニクVとアストラゼネカのワクチンは、コロナウイルスの遺伝子を他のウイルス(メッセンジャー)に挿入して作るベクター(媒介者)方式のワクチンだ。スプートニクVは、2度の接種で一般的な風邪のウイルスであるアデノウイルス5型と26型をそれぞれベクターとして用いる。アストラゼネカのワクチンは、アデノウイルス5型のみをもとにしている。チンパンジーから抽出したアデノウィルスにもとづくアストラゼネカのワクチンだけでは、臨床試験では効能が落ちるとの指摘もあった。