米国のジョー・バイデン次期大統領がアジア政策を総括するポストの新設を考慮している。
バイデン氏は、中国から提起されている広範囲な挑戦などアジア地域の重要性が高まったことを受け、ホワイトハウス内でのアジア政策の総括責任者の任命を考慮していると、米紙「フィナンシャル・タイムズ」が2日(現地時間)付で報道した。
同紙はバイデン氏の政権移行チーム関係者5人の話を引用し、バイデン氏が国家安保会議(NSC)にアジア政策総括責任者を置く案を考えていると報じた。彼らのうち一人は「次期大統領は、アジア太平洋は素晴らしい機会を秘めた地域であるだけでなく、我々の利益と価値観がますます多くの課題に見舞われる地域でもあると繰り返し明言してきた」と語った。バイデン氏が副大統領を務めたバラク・オバマ政権は「アジア・ピボット」(アジア回帰)政策を掲げ、米国の対外政策の中心を欧州や中東からアジアにも移した。
アジア政策総括責任者の有力な候補としては、アジア政策の最高責任者に指名されると予想される、政権移行チームのジェフ・プレスコット氏が取り上げられている。アジア関連の高官を務めるものと予想される国防総省と国家安保会議の官僚出身のケリー・マグサメン氏も候補だ。プレスコット氏は10月、「フィナンシャル・タイムズ」とのインタビューで、バイデン氏が中国に対処するための他国との共同努力の一環として、米国の同盟国を再び構築するだろうと述べた。
アジア政策総括責任者は、ジェイク・サリバン国家安保補佐官指名者が示したいくつかの提案の一つだ。アジア政策総括責任者が指名されれば、その下に国家安全保障会議の局長級でアジア地域を三分して管轄させる案も構想されている。中国とインドを別個に扱いながら、韓国、日本、オーストラリアなど残りのアジア太平洋地域の同盟国に対処する編制だ。これはドナルド・トランプ政権後に浮き彫りになったインド太平洋戦略におけるインドの重要性を反映するものでもある。
同紙はあるアジア専門家の言葉を引用し、「日本のような同盟国にとって、信用できるかどうかの本当の試金石となるのは、その前提が中国に対処するためにアジアと協力することなのか、それともホワイトハウス内で中国の地位を高めるだけなのか」だとし、アジア政策総括ポストの新設はアジアの同盟構築に貢献する方式でなければならないと指摘した。
この問題を議論するバイデン政権移行チームのある関係者は、アジア政策総括ポストをどのような構造で設けるかについては多くの提案があり、まだ決まったものはないと伝えた。多くのアジア専門家がバイデン氏の大統領選挙運動過程で、アジア政策総括ポストの新設を提案した。ただし、一部では、アジア政策総括責任者がむしろ中国のターゲットになる恐れがあると反対してきた。また、政策決定の過程で主導権争いと官僚主義が強まる恐れもあるという意見も示された。