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ドイツ政権党、医学部生50%増員を推進…医療界は「歓迎」

登録:2020-09-07 02:26 修正:2020-09-07 08:43
「1千人当たりの医師数」韓国の2倍だが「医療人材不足」 
農村の医師不足に「農村地域医師割当制度」も広がる
ドイツ・ハンブルクの新型コロナ診療所で、医師が検体を採取している=ハンブルク/AP・聯合ニュース

 ドイツの政権党が、医学部入学定員の50%拡大を進めることになった。また、毎年医学部卒業生の10%を地方で従事させる「農村地域医師割当制度」も各州に拡大している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機を経験したことにより、医療人材の不足、特に人口の少ない地方での医療人材の不足や、医療陣の長時間労働問題の深刻さに対する社会的共感が形成されたことを受けた措置だ。

 4日(現地時間)、ドイツ連邦議会の連立与党キリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)の統一会派は、今後ドイツの大学医学部の定員を5000人以上増やすことに合意し、これを地方議会に要求することとした。『シュピーゲル』などの現地メディアが報じた。

 現在ドイツでは、全国の医学部で毎年1万人の新入生を選抜している。今回の決定を主導した統一会派のリーダー、CDUのラルフ・ブリンクハウス氏は「ドイツの現在の医療システムを維持するためには、医療人材の拡充が不可欠」と述べた。ベビーブーム世代の引退により、2030年から医師数が急減することが予想されるため、診療医師の割合を現水準に保つためには、あらかじめ準備しなければならないという趣旨だ。

 ドイツの診療医の割合は人口1000人当たり4.3人で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でスイスと並んで7位だ。この統計において韓国は2.3人で36位。

 コロナ禍への対応の過程で、医療陣の長時間労働に対する社会的問題意識が広がったことも、今回の合意に一役買った。CDUのホームページによると、医学部定員拡充案は、これまで医療人材と施設の拡大を要求してきた医療界の歓迎を受けている。ドイツの病院医師組合マーブルク・ブント・オンラインが2019年に実施した調査によると、全国の病院に雇用されている6500人の医師の週平均労働時間は56.5時間で、今年は新型コロナへの対応でさらに増えていると推定される。

 社会的共感度が高いにもかかわらず、これまで医学部の入学定員が横ばいだったのは、財政問題が最も大きな理由となっている。大学教育費を公共が負担するドイツの教育システムでは、医療人材養成のためには、特に地方政府が財政的負担を抱え込まなければならないのだ。ドイツにおいて医学部生には、入学から卒業までに1人当たり平均で22万ユーロ(約2760万円)の教育費がかかると集計されているが、その大半は公共による負担だ。

 今回のCDUとCSUの統一会派による増員要求も連邦議会で出されたもので、地方議会に対して医療人材拡充のための財政計画の樹立を求める手続きの始まりと言える。このことが現行案の通りに実施されたとしても、医師の数が増え始めるのには少なくとも今から12~15年かかるため、医療人材不足を解決するには遅すぎるという指摘が出ている背景となっている。大学教育研究誌『フォーシュング・ウント・レーラ』は「医学部増員のために各地方政府が連邦政府に資金支援を要求してきたが、これまで誰も支援の約束を取りつけていない」と報道した。しかし、政権与党の決定により、連邦政府が地方政府に対する資金支援に乗り出すなど、事態が急速に動き出す可能性も高い。

 ドイツでは、地方医師の確保に向けた取り組みはすでに進められている。2017年にはドイツ連邦憲法裁判所が、ドイツの大学入学共通試験に当たるアビトゥーアの成績のみで医学部の新入生を選抜してはならないという判決を下し、昨年からは農村地域の医師不足を解決するための「農村医師割当制」が施行されている。ドイツで初めて同制度を導入したノルトライン-ヴェストファーレン州は昨年、145人を農村医師割当制で選抜した。ドイツでも医学部は最高の成績を収めた学生が志願するが、農村医師割当制では成績基準を大幅に下げる代わりに、その地域出身で、医療現場で看護師や救急隊員などとして働いた経験を持つ志願者から選抜する。彼らは卒業後も引き続き専門医の訓練を受け、10年間その地域で働くことが義務付けられている。

 今回の医学部増員推進についても、農村医師割当制を導入する大学のみを対象として人員を増やすかどうかは、まだ論議中だ。政権党のCDUと緑の党は、すでに2021年夏学期から75人を農村医師割当制によって増員することで合意しているが、一部の大学の反対に遭い、その規模を確定できずにいる。ドイツの時事週刊誌『シュピーゲル』は「今回の増員案が実質的に医師不足を解決できるのか、あるいは(農村医師割当制などによる)診療医師の均等な分布が重要なのかは、まだ議論の余地がある問題」と伝えている。

ベルリン/ナム・ウンジュ通信員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/960951.html韓国語原文入力:2020-09-06 17:31
訳D.K

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