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北朝鮮「ワイズ・オネスト号を直ちに返還せよ」国際世論戦を展開

登録:2019-05-23 06:09 修正:2019-05-23 06:57
北朝鮮のキム・ソン国連大使、記者会見を開いて主張 
「6・12共同声明の否定であり、国際法でも正当化できない 
米国の行動を注視する…すべては米国次第」 
ヤン・ムジン教授「追加制裁するなという警告…対話の出発点になる可能性も」 
北朝鮮のキム・ソン国連大使が今月21日午前(現地時間)、ニューヨークの国連本部のブリーフィングルームで、米国の北朝鮮船舶「ワイズ・オネスト」号の差押を非難し、即時返還を要求する記者会見を行っている=国連ウェブキャスト画面よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が国連の舞台で自国の貨物船「ワイズ・オネスト」号に対する米国の差し押さえを非難し、直ちに返還することを要求した。北朝鮮貨物船の差し押さえが、2月末のハノイ朝米首脳会談以降、膠着状態に陥った朝米関係の主な変動要因に浮上している。

 北朝鮮のキム・ソン国連大使は21日(現地時間)、米国ニューヨークの国連本部で記者会見を開き、「ワイズ・オネスト号は共和国の資産であり、我々の主権が完全に行使される領域」だとしたうえで、「米国は極悪極まりない行為がもたらす結果について熟考し、直ちに貨物船を返還すべきだ」と主張した。さらに「われわれは米国のあらゆる行動を綿密に注視している」と警告した。

 キム大使は「米国の行為は、最大の圧迫で私たちを屈服させようとする米国流の計算法の延長線上にあり、新たな朝米関係の樹立を公約した6・12朝米共同声明の希望と精神を全面否定するもの」だと批判した。彼は「我々は国連安全保障理事会(安保理)の制裁決議を認めたことも、受け入れたこともない」とし、「米国が一方的な制裁を第3国の主権に適用するのは、国際法上ではもちろん、いかなる状況でも正当化できない」と強調した。

 キム大使は「米国の大学生、オットー・ワームビア氏の死亡」などに関する記者団の質問に対し、「今日の会見は貨物船差し押さえに関するもの」だとして、即答を避け、「すべては米国次第だ。米国の動きを注視する」と述べた。

 北朝鮮が国連本部で記者会見を開いたのは異例なことで、ワイズ・オネスト号の差し押さえを国際舞台で争点化するためと見られる。北朝鮮は14日、外務省報道官談話で、キム大使の記者会見と同じ主張を展開しており、17日にはキム大使の名義でアントニオ・グテーレス国連事務総長に書簡を送った。ただし、キム大使の会見内容が外務省報道官の談話のレベルを超えなかったことから、対米反発のレベルを調整しているといえる。

 北韓大学院大学のヤン・ムジン教授はキム大使の発言について、「追加制裁をするなという強力な対米警告」だとし、「膠着状態の対話を再び始める出発点になる可能性もある」と指摘した。

 米国務省はキム大使会見に対するマスコミの論評要請に「国連安保理が決めた通り、国際制裁は維持され、すべての国連加盟国によって履行されている」と答えた。国務省は「トランプ大統領は彼の言葉通り、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が非核化の約束を守ると信じている。米国はその目標に加え、さらなる進展を作るため、北朝鮮との外交交渉の可能性を残している」と発表した。

 米法務部は今月9日、米国と国連の制裁に違反し、石炭を運送したワイズ・オネスト号を差し押さえたという事実を発表し、この船舶に対する没収訴訟を提起した。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/894819.html韓国語原文入力:2019-05-22 19:46 
訳H.J

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