キム・ソン駐国連駐北朝鮮大使は21日(現地時間)、米ニューヨークの国連本部で記者会見を開き、米国政府が差し押さえた北朝鮮貨物船「ワイズ・オネスト号」を滞りなく返還するよう要求した。
キム大使はこの日午前10時15分、国連本部のブリーフィングルームで記者会見を開き、「米国がわが国の貨物船を差し押さえたのは明確に不法であり不当だ」とし、「米国は滞りなくこれを返還しなければならない」と主張した。キム大使は「われわれはワイズ・オネスト号がわれわれの主権が完全に作動する我が領土と見なす」とし、米国の船舶差し押さえが北朝鮮の司法権侵害だと非難した。彼は14日、北朝鮮外務省報道官が発表した談話を言及しながら、「米国の今回の行動は、最大の圧迫でわれわれを屈服させようとする米国式の計算法の延長であり、新たな朝米関係の樹立を公約した6・12朝米共同声明の基本精神を全面的に否定すること」だと批判した。
キム大使は同船舶の即時返還を要求しながら「われわれは今後米国のすべての行動を綿密に注視する」と警告した。
キム大使はこのような内容の発言を終えた後、記者団から「米国の船舶差し押さえが朝米関係に及ぼす影響は何か」、「第3回朝米首脳会談に向けた両国の接触はあるか」、「貨物船に国連制裁に違反した物を載せていたのか」、「米大学生オットー・ワームビアさんの死亡について何か言うことがあるか」などの質問を集中して受けた。しかしキム大使は「本日の会見は船舶差し押さえに関すること」だとし、「われわれは米国の行動を綿密に見守る」とだけ答えた。彼は「残りの質問には別の機会に答える」と話し、会見場を離れた。
北朝鮮が国連本部で記者会見を開くのは非常に異例なことで、ワイズ・オネスト号の差し押さえに対して国際舞台で反発をふくらませ、争点化しようとする意図があるとみられる。
北朝鮮はこれに先立ち、17日にもキム大使の名義でこのような内容の書簡をアントニオ・グテーレス国連事務総長宛てに送った。北朝鮮はこの書簡で「最近、米国が米国法にかけて我が国の貿易貨物船を米国領サモアに引いていくという不法で非道な強奪行為を行ったことは、米国こそ国際法も眼中にない強盗のような国であることを自らあらわにしたもの」と非難した。また、「米国が船舶強奪の口実に掲げた米国内法に基づく対朝鮮『制裁法』のような一方的な制裁は、国連総会第62回会議決議によって国連憲章と国際法に反する非法的な行為と規定されている」とし、「主権国家がそのいかなる場合でも他の国の司法権の対象にはならないということは、普遍的な国際法的原則」だと主張した。
これに先立ち、9日、米法務部は米国と国連の制裁に違反して石炭や重装備を運送したワイズ・オネスト号を差し押さえたという事実を発表し、同船舶を正式に没収するための民事訴訟をニューヨーク連邦裁判所に提起した。1万7000トン級のワイズ・オネスト号は、北朝鮮船舶のうち二番目の規模であることが分かった。米国は、船舶の差し押さえ・没収の発表は北朝鮮の4日、9日の短距離ミサイルなど飛翔体発射と関連がないと述べたが、時期的に強力な対北朝鮮圧迫のメッセージとして受け止められた。